① ヒトiPS細胞においてkeratin遺伝子にeGFP遺伝子をノックインする 現状で確立されているiPS細胞から表皮角化細胞誘導システムは、未だ改善の余地があり、表皮角化細胞への分化誘導を厳密にチェックしながら研究を遂行していく必要があると考え、ヒトのiPS細胞において、人工ヌクレアーゼ(TALENs)を利用して内在性のK5あるいはK14遺伝子に、インフレームでeGFP遺伝子をノックインした。これにより、iPS細胞が角化細胞に分化しK5/K14遺伝子がONになってくると、GFPの蛍光発色も同時に観察されるシステムができあがった。 ② ヒトiPS細胞におけるフィラグリン遺伝子のターゲッティング ヒトiPS細胞において、フィラグリン遺伝子を標的にして、ターゲッティングを行なった。①において得られた、K14/K5-eGFP-ヒトiPS細胞、正常なiPS細胞を使用して行った。人工ヌクレアーゼとしてはCRISPR-Cas9システムを利用して、自ら作成した。結果、フィラグリン遺伝子に数塩基のランダムな欠失(片アレル)がみられるものをいくつか用意できた。
問題:iPS細胞から表皮角化細胞への分化プロトコールが急に動かなくなり、分化プロトコールの再確立が必要な状態となった。研究を進めるために、角化細胞に分化途中の細胞(そこまでは分化可能)において、ケラチン遺伝子、分化マーカーなどについて発現をチェックし、完全に分化した角化細胞と分化刺激によって発現するマーカーなどが同様であることを確認したうえで、その細胞を利用して検討をおこなっていくこととなった。三次元構造における検討ではなく、single cellsのレベルでの検討となるが、次善の状況で検討が出来ることとなり、今後もその状態で検討を行っていくこととなった。
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