研究課題/領域番号 |
15K09765
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野村 尚史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (60346054)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 制御性T細胞 / 皮膚炎 / アトピー性皮膚炎 / 円形脱毛症 |
研究実績の概要 |
【研究の背景】転写因子Foxp3を発現する制御性T細胞(以下Treg細胞)は、免疫反応を抑制するCD4陽性T細胞である。IL-2中和抗体(S4B6)を2-3週齡の幼若マウスに投与すると、Treg細胞が一過性に減少する。Treg細胞数はやがて正常範囲に復帰するが、後日、成獣マウスは種々の自己免疫病を自然発症することが知られている。【研究の目的と意義】本研究は、Treg細胞の(一過性ないし遷延性)の数的変動が、免疫・アレルギー性皮膚炎に与える影響を調べることを目的とする。本研究は、皮膚炎をはじめとする疾患の病態解明につながる点で有意義である。【本年度の実績】平成27年度は、Treg細胞の減少が皮膚炎に与える影響を検証する疾患モデルの樹立を試みた。(1)S4B6ハイブリドーマから目的の抗体を回収した。(2)幼若C3H/HeJマウスにS4B6を投与後、円形脱毛症を自然発症する頻度が上昇するか観察したが、有為な結果は得られなかった。元々の発症頻度が非常に低いため、現在の動物飼育環境ではその影響を捉えられなかったと考えられる。(3)アトピー性皮膚炎モデルであるFlaky tail(Flg/ft)マウスは、必要数がそろわず実験は未施行である。またTreg細胞をヒトCD2抗体で除去する系を樹立するためFlg/ftとFoxp3-hCD2マウスを交配中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
飼育施設の関係から、必要な数のマウスを確保できなかった。また、Flaky tail(Flg/ft)マウスでFoxp3発現制御性T細胞(Treg細胞)をヒトCD2抗体で除去するために、Foxp3/hCD2マウスとの交配に時間がかかり、進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度も引き続き疾患モデルの樹立を試みる。(1)円形脱毛症モデルは、自然発症モデルでは発症頻度が非常に低く、実験効率が悪いと判断した。代替策として、脱毛症を発症したC3H/HeJから回収した病原性T細胞を、脱毛症を発症していないC3H/HeJマウスに移入して脱毛症を発症させる実験系を採用する。脱毛症を発症したC3H/HeJマウスは、動物供給業者から購入する。(2)アトピー性皮膚炎モデルであるFlaky tail(Flg/ft)マウスを繁殖させる。またFlg/ftとFoxp3-hCD2マウスを交配し、目的のマウスを作出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの準備に遅延が生じ(詳細は進捗に記載)、予定していた実験を実施できなかった。そのため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
遺伝子改変マウスの繁殖や、初年度に予定していた実験の物品費として使用する。
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