研究課題
【研究の背景】転写因子Foxp3を発現する制御性T細胞(以下Treg)は、免疫反応を抑制するCD4陽性T細胞である。これまでの研究から、IL-2中和抗体(S4B6)を、幼若マウスに投与してTregを一過性に減少させると、成獣期に自己免疫病を自然発症することが知られている。【研究の目的と意義】本研究の目的は、Tregの一過性ないし持続的な減少が、皮膚炎に与える影響を調べることである。本研究は、種々の疾患の病態解明につながる点に意義がある。【昨年度までの実績】円形脱毛症を自然発症するC3H/HeJマウスにS4B6を投与したが、元来の発症頻度が低く有意な結果は得られなかった。【本年度の実績】平成28年度は、アトピー性皮膚炎モデルであるFlaky tail(Flgft/ft)マウスにおけるTregの役割を検証するため、TregをヒトCD2抗体で除去可能なFoxp3-hCD2マウスと交配していた。しかし動物施設での問題があり、コロニーを閉じる必要が出来し、交配を中止した。平成29年度に交配を再開予定である。この間、アトピー性皮膚炎のモデルとして、接触過敏反応(CHS)モデルを用いて、Tregの関与を検討した。その結果、惹起相におけるTregの減少は、CHSを亢進させることがわかった。また、IgE依存性慢性アレルギー炎症モデルにおいて同様に検討したところ、Tregが炎症を抑制することがわかった。
4: 遅れている
飼育施設の関係から、現在、マウスコロニーを閉鎖しており、マウス交配の再開を待機しているため、必要なマウス個体が得られていない。その間、入手可能まマウス系統を利用して、Tregの機能を検討した。
(1)円形脱毛症モデルは、脱毛症を自然発症したC3H/HeJから病原性T細胞を回収し、未発症の同系マウスに移入して脱毛症を発症させる予定である。(2)アトピー性皮膚炎モデルマウスFlaky tail(Figft/ft)のコロニーを4月ごろに樹立できる見込みである。このマウスにS4B6を投与し、皮膚炎の発症時期、重症度への影響を観察する予定である。(3)CHS惹起相、並びに、IgE依存性慢性アレルギー炎症におけるTregの抑制機構を細胞レベルで解明する。特に、IgE依存性慢性アレルギー反応において枢要な好塩基球と、Tregとの関係について検討を進める。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件)
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