研究課題
乾癬発症に必須であるIL-17の産生制御メカニズムについて、マウス乾癬モデルにライブイメージングの手法を組み合わせることで解析した。マウス乾癬モデルとして、イミキモド誘発乾癬モデルを用いた。皮膚でのIL-17産生の経時的変化を検討したところ、イミキモド外用3日目にピークを迎え、以後ほぼ横ばいで推移した。同モデルでは、gamma delta T細胞が、樹状細胞からのIL-23刺激をうけてIL-17を産生する。従って、皮膚樹状細胞とgamma delta T細胞の動態と相互作用についてそれぞれのレポーターマウスを組み合わせてライブイメージングにより観察した。皮膚樹状細胞とgamma delta T細胞は、皮膚で頻繁な相互作用をしている様子が認められた。このことから、樹状細胞がgamma delta T細胞を引き寄せる因子を放出している可能性を考え、インビトロにおいて樹状細胞とgamma delta T細胞を使ったケモタキシスアッセイを行った。その結果、樹状細胞からの何らかの液性因子が、gamma delta T細胞の遊走を促進している可能性が示唆された。樹状細胞からの因子として、脂質メディエーターの関与に仮説をたてた。脂質メディエーターの中でも、樹状細胞はトロンボキサンを多く産生する。トロンボキサンはgamma delta T細胞の遊走には影響しなかったが、IL-17産生を促進した。すなわち、皮膚樹状細胞はgamma delta T細胞と物理的に近傍に存在することで、gamma delta T細胞の活性を誘導しやすい状態にあること、また樹状細胞からのトロンボキサンが、乾癬モデルにおけるIL-17産生を促進している可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
予定された実験はほぼ順調に遂行された。さらに、樹状細胞から産生される、gamma delta T細胞機能制御の候補因子を見出した。
in vivoにおいてトロンボキサン産生を阻害したときに、IL-17産生が低下するかどうか、阻害剤やトロンボキサン受容体欠損マウスを用いて検証する予定である。また、gamma delta T細胞の樹状細胞由来遊走因子について、各種阻害剤をもちいて引き続き検証する予定である。
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Journal of Allergy and Clinical Immunology
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10.1016/j.jaci.2017.02.027
British Journal of Dermatology
10.1111/bjd.15282.