研究課題
本研究は、明暗サイクルの撹乱による「概日リズムの乱れ」がアトピー性皮膚炎を始めとするアレルギー疾患の発症と難治化におよぼす影響とその分子機構を究明するとともに、アレルギー疾患の新たな発症予防法や治療法の開発に貢献することが目的である。マウスを用いた検討により、仔マウスの概日リズムの変調は新生児免疫寛容を抑制すること、妊娠母マウスの概日リズムの変調は出生後の仔マウスの新生児免疫寛容を抑制することに加え、マウスの概日リズムの変調はハプテンによる接触過敏反応を抑制することが明らかになった。この研究結果をさらに発展させ、概日リズムの変調がアレルギー反応や経皮感作、アレルゲンに対する耐性の獲得、表皮バリア機能等におよぼす影響を広く詳細に解析し、アトピー性皮膚炎を始めとするアレルギー疾患の発症や難治化におよぼす概日リズムの影響を解明したい。
2: おおむね順調に進展している
概日リズムの変調が新生児免疫寛容におよぼす影響に関する研究成果は、国際学術誌に掲載された(Mizutani H, et al. J Dermatol Sci 86; 63-70, 2017.)。また、明暗サイクルの撹乱したマウスではハプテンに対する接触過敏反応が増強することを見いだし、国際学術誌に投稿した。現在、アレルゲンに対する耐性獲得の機序についてさらに詳細に検討をしている。
今後は、概日リズムの変調が接触過敏反応の感作相、惹起層におよぼす影響を詳細に検討する。具体的には、マウスの明暗サイクルを変調させた条件でハプテンに対する接触過敏反応を誘導し、皮膚炎局所に浸潤するリンパ球のサブセットと機能の解析、制御性T細胞の動態や抗原提示細胞の機能の解析を行う。次に、明暗サイクルを撹乱させたマウスの全身性即時型過敏反応におよぼす影響を検討するため、卵白アルブミンによる感作後に即時型過敏反応を惹起する系で、反応を解析する予定である。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 3件)
J Dermatol Sci
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