研究実績の概要 |
本研究は、アトピー性皮膚炎の発症と慢性化におけるToll 様受容体(TLR)3 シグナル―自然リンパ球を介した機序を明ことが目的である。 実験内容は、TLR3ノックアウトマウス(Tlr3 KO)と、Wild Typeマウス(WT)の腹部をハプテン(2,4,6-trinitro-1-chlorobenzene : TNCB)で感作した後、耳介に2日毎にTNCBを反復塗布して慢性接触皮膚炎を誘発した。両群マウスの耳介厚の経日変化をday30まで測定した。また、day0, 8, 14, 20, 28には誘発後の耳介腫脹厚の経時変化を測定した。そして、day8, 30に耳介組織と血清を採取し、耳介の組織所見、浸潤細胞数、血清total IgE、組織中のサイトカインであるinterleukin(IL)-33, IL-4, IL-10, IL-2, interferon(IFN)-gを評価した。 マウスの耳介厚の経日変化を比較したところ、WTで著しく増加したのに対し、Tlr3 KOでは有意に抑制された。また、day8, 30における耳介組織の病理所見を比較すると、いずれの時点においても表皮の肥厚、組織の浸潤細胞数ともにWTに比べTlr3 KOで抑制されていた。次に、血清のtotal IgEを測定したところ、day0では両群に差はなかったが、day8ではWTに比較してTlr3KOで有意に抑制されていた。Day30では両群とも著明に上昇し、差を認めなかった。アレルギー性皮膚炎に関与するサイトカインの発現を、day8の耳介組織においてリアルタイムPCRで評価した。Tlr3KO の耳介組織におけるIFN-g、IL-4、IL-10のmRNA発現は、ハプテン塗布3h、6h後に有意に抑制されていた。
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