研究課題
本年度も、臨床的にNNSが疑われながらPSMB8変異のない症例の発掘と遺伝子解析を進めた。まず凍瘡様ループスとの臨床診断であった北海道の小児例にTREX1遺伝子の既知のヘテロ変異を見出し、エカルディ・グティエール症候群と確定診断した。全国調査で見出された大分のNNS類似症例については、両親とトリオでエキソーム解析を行い、患児に特異的なヘテロ変異を見出したが、積極的に機能的意義が示唆されるものではなかった。プロテアソーム関連遺伝子についてパネル解析を行っていたが、さらにインターフェロン異常症関連、インフラマソーム関連、オートファジー関連など約90遺伝子まで対象を広げ新たなパネル解析を始めたが、有意な変異は見出せなかった。次いでやはり凍瘡様症状が目立つ神奈川の小児例について両親とトリオでエキソーム解析を行った結果、患児にこれまで疾患と関連変異の報告のないSTAT1の転写制御遺伝子の複合ヘテロ変異を見出した。血清中IP-10濃度がNNS患者と同程度に高く、またIFNγで刺激した末梢血単核球におけるSTAT1リン酸化が両親よりも亢進していたことから、新たなインターフェロン異常症であることが示唆されている。現在、患者由来不死化B細胞に正常遺伝子を導入することで表現型を戻せないか検討中である。さらに、進行性の脂肪萎縮が目立つ東京の小児例について、新しいパネル解析を行い、NLRP3遺伝子に新規ヘテロ変異を見出し、スプライシング異常の可能性について検討中である。以上のように、プロテアソーム機能不全症としてはNNSとPSMB9異常症の他にはなかなか見出されていないが、上記インターフェロン異常症の解析と平行して、NNS患者由来細胞にPSMB8特異的siRNAあるいは正常PSMB8遺伝子を導入することでプロテアソーム機能が回復できないか、検討中である。
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