研究実績の概要 |
昨年度までの研究から、我々はマイコプラズマ(MP)感染症患者の回復期で末梢血液中の制御制T細胞(Treg)のサブポピュレーションであるnatural/induced Tregの頻度が減少し、non-suppressive Treg (Foxp3+ non-Treg) 細胞 が増加していることを見出し、そしてproinflammatory サイトカインであるIL-17Aを産生するFoxp3+ 細胞の増加が認められた。 単球はMPの菌体成分をToll-Like receptor 2 (TLR2) で認識し、サイトカインを産生するが、TLR2を介した刺激によって単球のサブポピュレーションの一つであるCD14dim CD16+のproinflammatory 単球(pMO)からのIL-6(T細胞をTh17 に分化誘導させるサイトカイン)が有意に上昇していることを見出した。TLR2はTLR1及びTLR6とヘテロダイマーを構成しリガンドと結合し細胞が活性化するため、TLRの発現頻度によって細胞の活性化が変化する可能性が考えられる。そこで、本年度では、MP感染症患者とボランティアの健常人より得た末梢血中のpMOの細胞膜に発現しているTLRs(TLR1, 2, 6)の発現頻度を、フローサイトメトリーを用いて比較調査した。 TLR1の発現はMP感染症急性期・回復期共に健常人と比較して有意差は見られなかったが、驚くべきことにTLR2の発現はMP感染症急性期・回復期共に健常人よりも有意に発現が低下していた。一方、TLR6の発現はMP感染症回復期で有意に発現が増加していたことを見出した。 以上の結果より、MP感染症回復期のpMO細胞膜のTLR2/1/6の発現バランスの変化が、リガンドとの結合及びその後の細胞内シグナル伝達に影響を与え、IL-6を有意に産生した可能性が示唆された。現在、本研究成果をまとめ、論文発表の準備を行っている。
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