研究実績の概要 |
CHILD症候群(Congenital hemidysplasia with ichthyosiform erythroderma and limb defects)は、末梢コレステロール生合成経路のNSDHL変異により、乾癬様の皮膚炎を生じる。in vitroの系でコレステロール代謝異常の条件を疑似的に作成するため、HaCaT細胞を10%FCS/DMEMにて培養し、70%コンフルエントになった状態で、コレステロール除去培地に変更し、NSDHLの阻害薬である17-αhydroxyprogesterone (17-OHP)を30uM添加し、48時間後に回収した。細胞から脂質を抽出し、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)にてコレステロール代謝物を測定したところ、17-OHP無添加群と比較して、4種類の異常なC28およびC29ステロールを検出した。この異常なコレステロール中間代謝物は、CHILD症候群患者の皮疹部の皮膚鱗屑から抽出した脂質のGC-MSでも検出されたが、患者の無疹部の鱗屑からは検出されなかったため、このin vitroの実験系がCHILD症候群の皮膚を疑似していることが確認できた。コレステロール合成経路にかかわるCYP51阻害剤やHMG-CoA阻害剤などを培地に添加して異常な中間代謝物を測定した。oxiconazole(抗真菌剤), ketoconazole(抗真菌剤), miconazole(抗真菌剤), terbinafine(抗真菌剤), atolvastatin(HMG-CoA阻害剤), simvastatin(HMG-CoA阻害剤), lovastatin(HMG-CoA阻害剤), minomycin(抗菌剤), clarythromycin(抗菌剤)のうち、oxiconazol, atolvastatin, simvastatin, lovastatinは用量依存的に異常な代謝中間代謝物の蓄積を抑制した。
|