研究課題
乾癬の遺伝率が高いことは知られているが、その多くを説明できる原因遺伝子はほとんど見出されていない。そこで「遺伝子機能に影響を与える稀な原因変異の同定」を目的として、乾癬患者家族を用い、全エクソンをシークエンシングするエクソーム解析を行う。さらにこれまでに検討すらされていない、「乾癬皮疹部における、発症原因となりうる、体細胞変異の探索」を合わせて行い、遺伝性および非遺伝性の乾癬原因遺伝子を網羅的に解析することが本研究の目的である。さて、日本において、乾癬の家族症例を対象とした全ゲノムのエクソーム解析はいまだ報告がなく、皮膚疾患として体細胞変異を網羅的に探索する研究はほぼ皆無で、類似研究も存在しない。したがって、日本の皮膚科学領域の研究を世界の最先端へ押し上げることにつながり、遺伝子型に基づく新たな診断法が確立し、さらには発症へ至る新たな分子機構の解明と創薬へのシーズを提供できると考えている。
2: おおむね順調に進展している
今年度の研究計画は予定通り、試料収集ならびに実験の着手である。本研究が採択された後、直ちに研究開始へ向け、倫理申請を行い、本年度前半までには承認を得た。併せて、家族例の調査を行い、患者6名、3世代、合計15名の家系を見出し、試料の収集に当たっている。一方、Blaschko 線上に乾癬皮診部が認められる非常にまれな患者を見出し、これも試料の収集を行った。これらの試料に加え、既存の家族症例の試料について、エクソームシークエンシングに向けたDNAライブラリーの調整を現在行っている。
平成28年度は前年度に調整したDNAライブラリーをシークエンシングし、データの解析を行いつつ、さらなる試料の収集、ならびに得られた結果の検証も可能であれば実施する予定である。
平成27年度にシークエンシングに関する実験をいくつか実施する可能性があったため、計画当初これを予定していたが、実際にその実験はその直前で年度を終えたため。
平成28年度にこのシークエンシングにかかる費用を平成27年度に未使用であった予算を使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Human Mutation
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