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2016 年度 実施状況報告書

S100A8/A9-Emmprin系を介したメラノーマの増殖転移制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K09788
研究機関東京医科大学

研究代表者

坪井 良治  東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70221421)

研究分担者 原田 和俊  東京医科大学, 医学部, 准教授 (20324197)
山本 真実  東京医科大学, 医学部, 助教 (60421062)
前 賢一郎  東京医科大学, 医学部, 助教 (60532257)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードメラノーマ / 転移 / S100A8/A9 / 転移モデル
研究実績の概要

平成27年の研究により、我々は耳介皮膚に接種した悪性黒色腫細胞株が肺へ転移するマウスモデルを確立した。このモデルの利点は、皮膚局所で増殖した腫瘍細胞が血管もしくはリンパ管へ浸潤し、脈管を経由して肺に到達後転移巣を形成するそれぞれのステップを解析できる点である。しかし、マウスに腫瘍細胞を皮下注射後、肺に転移巣をきたす個体は30%程度とそれほど高率ではない。そこで、悪性黒色腫細胞株に転移を惹起する遺伝子を導入し、高率に肺転移をきたす細胞株を樹立することとした。今回、我々はEpithelial Mesenchymal Transition(EMT)のマスター遺伝子である、転写因子snailに注目した。snail遺伝子のcDNAをヒトメラノーマ細胞株A375へ導入し、snail遺伝子を過剰発現した細胞株を樹立した。新たに樹立した細胞株のsnail遺伝子の発現はwestern blotで確認した。色素細胞は通常状態で、E-cadherinを発現し表皮角化細胞と接着しているが、EMTが誘導されるとN-cadherinを発現し、血管内皮細胞と接着するようになる。そこで、新たに樹立したsnail高発現A375細胞におけるN-cadherinの発現を検討したが、免疫組織学的に発現の上昇は確認できなかった。また、この細胞を培養したところ、通常のA375細胞に比べ細胞間接着が弱い傾向が認められたが、明らかな運動性の上昇は認められなかった。これらの結果から、snail遺伝子の強制発現のみでは悪性腫瘍細胞の運動性を上昇させることはできないことが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

悪性黒色腫の転移抑制薬の開発に際し、我々の確立した転移モデルを有効に用いるためには、高率に転移する細胞株の樹立が必要である。これまでの解析で判明したようにEMTのマスター遺伝子snailの導入のみでは運動性の高い腫瘍細胞株は樹立できなかった。今後はZEB1などの他のEMTを惹起する遺伝子を導入、もしくはEMT を誘導するWntシグナル、TGF-βシグナルなどが活性化した悪性黒色腫細胞株を作製し、運動性が高く、高率に転移する細胞株の樹立を試みる。

今後の研究の推進方策

①ZEB1遺伝子のcDNAを作製し、悪性黒色腫細胞株に導入後、ZEB1高発現株を樹立する。
②EMTを誘導するWntシグナルを活性化させるため、Wntシグナルの主要因子であるβ-cateninを導入した細胞株を樹立する。
③これらの細胞におけるE-cadherin、N-cadherin、Rhoなどの発現を検索しEMTの誘導を確認する。さらに、細胞の形態や細胞間結合の状態を検討する。
④EMTが誘導され、運動性が亢進した細胞の樹立を確認後、我々が確立した転移モデルを用いて、S100A9-Emmprin結合阻害薬の転移抑制効果を検討する。

次年度使用額が生じた理由

研究の進行はやや遅れているが、経費はほぼ予定通り使用している。今回の差額は消耗品が予定より安価であったために生じたものであり、誤差範囲内だと考える。

次年度使用額の使用計画

当初の計画通り、試薬、細胞培養、実験動物等に充てていく。また、研究のまとめ、報告のために使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] A pulmonary metastatic model of murine melanoma assessed by magnetic resonance imaging.2017

    • 著者名/発表者名
      Numata T, Kiryu S, Maeda T, Egusa C, Tsuboi R, Harada K
    • 雑誌名

      Exp Dermatol

      巻: Epub ahead ページ: -

    • DOI

      10.1111/exd.13327

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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