研究実績の概要 |
乾癬の亜型として最重症病型である膿疱性乾癬が知られている。膿疱性乾癬の原因遺伝子のひとつがIL-36受容体のアンタゴニスト(IL-36RA)をコードする遺伝子のIL36RNであることが国内外で報告されたが、本邦では膿疱性乾癬患者や他の病型である尋常性乾癬および健常人におけるIL36RN遺伝子異常に関する詳しい解析はまだなされていない。 我々は8名の膿疱性乾癬患者と258名の尋常性乾癬患者から得られた検体を用いて、IL36RN遺伝子の全エクソンの塩基配列を調べた。その結果、6つの1塩基多型(SNPs)が同定された(p.R10X, p.R10RfsX1, p.N47S, p.V57I, p.P82L, p.E112K)。さらに、これらのSNPsの日本人での遺伝子頻度を調べるため、1130名の健常人から得られた検体を用いてSNPsの解析をした。 p.R10Xとp.R10RfsX1は既に日本人の膿疱性乾癬患者で報告されたSNPsと同一である。p.N47S, p.V57I, p.P82Lの3つのSNPsは、尋常性乾癬患者と健常人でほぼ同じ頻度で認められたため、遺伝子変異とは考えられない。一方、p.E112Kは1名の膿疱性乾癬患者に認められたが、尋常性乾癬患者と健常人では認められず、膿疱性乾癬の新たなIL36RN遺伝子変異と考えられた。画像解析ソフトを用いると、この変異は蛋白の機能変異に関与する可能性が高いと考えられた。 なお、研究分担者の玉利真由美らは、アトピー性皮膚炎における全世界規模のゲノムワイドな遺伝子解析研究に参加し、新たに10個の新患感受性遺伝子を同定した。さらに、韓国人の難治性小児アトピー性皮膚炎患者のゲノムワイドな遺伝子解析研究に参加し、角化や免疫の機能に関与する新たな新患感受性遺伝子を同定した。
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