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2015 年度 実施状況報告書

自然リンパ球の活性化と皮膚炎の病態に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K09796
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

今井 康友  兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10529514)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード自然リンパ球 / IL-33 / ILC2
研究実績の概要

AD皮膚に集積する2型自然リンパ球(ILC2)の特性を解明

申請者らはヒトケラチン14をプロモーターとしてIL-33を表皮で過剰産生する遺伝子改変マウス(IL-33Tg)を樹立した。このマウスではIL-33受容体を発現する2型自然リンパ球 (group 2 innate lymphoid cells; ILC2)が活性化し、IL-5などのTh2サイトカイン産生の増加を伴ってADに酷似する皮膚炎が自然発症する。ILC2の分類は、現在はinflammatory ILC2 (iILC2)とnatural ILC2 (nILC2)に分けられる(Huang Y and Paul WE, Inflammatory group 2 innate lymphoid cells. Int Immunol. 2016)。例えばIL-25で誘導されたnuocyteはiILC2に、ナチュラルヘルパー細胞はnILC2に分類される。申請者らが樹立した新規AD病態モデルマウスIL-33Tgの皮疹部の皮膚をコラゲナーゼ活性をもつ酵素で溶解し比重遠心法にて白血球だけを分離する手法で皮膚に浸潤するILC2の表面マーカーをフローサイトメーターで解析したところ、Lin陰性、Sca-1陽性、ICOS陽性、ST2 (IL-33R)陽性、Thy1強陽性、KLRG1中間陽性、IL-17RB弱陽性であり、その表現型はnILC2に一致することが判明した。このように、IL-33Tgマウスの2型自然リンパ球(ILC2)はナチュラルヘルパー細胞(nILC2)に相当することが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規AD病態モデルマウスIL-33Tgを好塩基球のない遺伝子改変マウスと交配する予定であったが、本学動物実験施設の都合で受精卵から好塩基球のない遺伝子改変マウスを起こすのが8ヶ月待ちとなり、その分遅延したものの、現在では無事にマウスが生体まで育ったことで交配を開始しつつある。なお、現在ではすぐに受精卵からマウス作成ができる体制に戻っている。また、ILC2のないマウスも本学で既に利用可能となり、実験を進めていくことが可能な体制となっている。

今後の研究の推進方策

ヒトのアトピー性皮膚炎(AD)ではILC2が皮膚で増加しているが、ADの皮膚炎がILC2の活性化に依存するかどうか証明することは不可能である。そこで、 AD様皮膚炎を自然発症するIL-33TgマウスをILC2のないマウスと交配あるいは骨髄移植によってILC2を除去し、その効果を観察して、ADの皮膚炎発症におけるILC2の役割を明らかにする。ILC2以外にも好塩基球もIL-33受容体を発現しており、これらの細胞がIL-33Tgの皮膚炎発症に関与する可能性も考えられる。そこで、好塩基球のない遺伝子改変マウスと交配、あるいはこれらの細胞を消去する抗体を投与することで、その影響(表現型)を観察する。

次年度使用額が生じた理由

急な円安により輸入品の価格が暴騰したため、無理に購入せず、次年度に回せる解析は次年度にまわしている。実験で得られたサンプルも固定したままmRNAを抽出していないものや解析せずに置いてあるものがごく少量ある。

次年度使用額の使用計画

円安が改善してきたため、当初の予定通りに輸入となる消耗品(RNA抽出キット、ELISAキット、PCR関連消耗品、抗体など)を購入していく予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] アトピー性皮膚炎におけるグループ2自然リンパ球の役割2016

    • 著者名/発表者名
      今井康友, 山西清文
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 65 ページ: 83-86

  • [雑誌論文] PD-1 regulates imiquimod-induced psoriasiform dermatitis through inhibition of IL-17A expression by innate γδ low T Cells, J Immunol2016

    • 著者名/発表者名
      Imai Y, Ayithan N, Wu X, Yuan Y, Wang L, Hwang ST
    • 雑誌名

      J Immunol

      巻: 195 ページ: 421-425

    • DOI

      doi: 10.4049/jimmunol.1500448

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] A Case of old age-onset generalized pustular psoriasis with a deficiency of IL-36RN (DITRA) treated by granulocyte and monocyte Apheresis.2015

    • 著者名/発表者名
      Tominaga C, Yamamoto M, Imai Y, Yamanishi K.
    • 雑誌名

      Case Reports in Dermatology

      巻: 7 ページ: 29-35

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Role of IL-33 and ILC2 in an aluminum adjuvant-induced eosinophilic inflammation2015

    • 著者名/発表者名
      Yasuda K, Muto T, Imai Y, Nakanishi K, Yoshimoto T
    • 学会等名
      第44回日本免疫学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道、札幌市)
    • 年月日
      2015-11-18 – 2015-11-20
    • 国際学会
  • [学会発表] 顆粒球吸着療法が奏功した水疱性類天疱瘡を 合併した超高齢者膿疱性乾癬の1例2015

    • 著者名/発表者名
      富永千春,山本雅章,永井諒, 今井康友,山西清文
    • 学会等名
      第30回日本乾癬学会学術大会
    • 発表場所
      ウエスティンホテル名古屋(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2015-09-04 – 2015-09-05
  • [学会発表] PD-1 regulates imiquimod-induced psoriasiform dermatitis through inhibition of innate IL-17A expression by γδ low T Cells2015

    • 著者名/発表者名
      Imai Y, Wu X, Ayithan N, Wang L, Hwang ST
    • 学会等名
      74th Annual Meeting of the Society for Investigative Dermatology
    • 発表場所
      アメリカ合衆国 アトランタ
    • 年月日
      2015-05-06 – 2015-05-09
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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