研究課題/領域番号 |
15K09803
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
竹林 淳和 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50397428)
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研究分担者 |
鈴木 勝昭 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00285040) [辞退]
横倉 正倫 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00529399)
岩田 泰秀 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10285025) [辞退]
亀野 陽亮 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40537255)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | うつ病 / 電気けいれん療法 / 活性化ミクログリア |
研究実績の概要 |
浜松医科大学附属病院精神科において精神疾患の診断・統計マニュアル第5 版(DSM-5)により大うつ病性障害と診断されうつ病の患者1名に対し、ECTを施行した。ECTはパルス波治療器サイマトロン(米国ソマティックス社製)を使用し、『米国精神医学会タスクフォースECT実践ガイド』(医学書院)に準じて施行した。静脈麻酔薬はプロポフォール、筋弛緩薬はスキサメトニウムを使用し、電極配置は両側性とした。初回の刺激用量はhalf-age法にしたがって決定し、発作波の発現により刺激用量を増加した。ECTの施行は週3回の頻度で最大12回施行した。活性化ミクログリアに特定的に結合するトレーサーである[11C]DPA713を用いて活性化ミクログリアの定量測定を行った。 対象者は57歳女性、9カ月の治療歴があり、抗うつ薬4剤に対する反応性が乏しく、ECT施行前のHDS-R 14点、MADRS 24点、GAF 50点であった。ECT施行2週後のHDS-R 7点、MADRS 11点、GAF 62点でECTによる抑うつ症状の改善が見られた。施行前後のPET所見で脳幹・視床においてDPAの集積の上昇が見られ、大脳皮質領域でも点在して上昇が見られた。今後、結合能画像にて、ECT施行前後の比較を行う。今後、PET画像の解析を進めて、活性化ミクログリアの発現量を定量化し、症状の変化との関連を明らかにする。 本研究ではうつ病に対するECTの治療前後における脳内の免疫機構の変化と治療効果との関係について、PETによる脳内の活性化ミクログリアの発現量の変化から治療メカニズムを解明する点において大変意義深い。また、うつ病の病態においてミクログリアが果たす役割を明らかにする点においても大変重要であると考えられる。
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