研究課題
岡山大学ジェンダークリニックを受診した患者に対し、性行動歴についての聴取を行い、DSM-Ⅳ-TR及びICD-10に基づいて性別違和の実態を検討したのち、female-to-male trans-sexual (FTM : 身体の性は女性、心の性は男性)の場合は産婦人科医、male-to- female trans-sexual (MTF: 身体の性は男性、心の性は女性)の場合は泌尿器科医により身体的性別の判定を実施し、染色体検査、性ホルモン検査、内外性器の診察を行った。その診断結果から、性分化疾患、性染色体異常など身体的性別に関する異常の有無を確認したのち、統合失調症など他の精神障害によるものではないこと、性役割の忌避や職業的利益を得るためではないことなどを確認して、2名の精神科医により性同一性障害の診断が確定した患者を対象に、研究の趣旨を説明し、書面にて同意の得られた患者から末梢血を採取した。末梢血から標準的な方法でゲノムDNAを抽出し、50ng/μ㍑に濃度を調整した。female-to-male trans-sexual (FTM)100例の全ゲノムについてジャポニカアレイ(TOSHIBA社)を用いて網羅的に解析した。なお、当初はエピジェネティクス解析を予定していたが、先の研究においてジャポニカアレイを用いた解析の結果から、ジャポニカアレイを用いて解析数を増やすことが病態解明に有用と考えたため、解析方法を変更した。
2: おおむね順調に進展している
アレイによる解析が本研究の主体となる。統計解析は完了していないが、研究の主体となる解析が終了しているため、研究は順調に進捗していると考える。
統計解析、imputationなどをすすめていき、性同一性障害の病態に関わる分子の解明を目指す。また、性合一性障害を臨床症状の特徴によってサブグループ化し、より詳細な解析を行うことも計画している。
予算内で解析できる最大件数をジャポニカアレイにより解析したため、一検体にかかる費用未満(1検体の解析費用=21,384円)の予算が次年度使用額となった。
解析にかかる費用や疾患のサブグループ化に有用な心理検査を施行するための用紙代、キット代などに使用する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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