本研究の目的は、精神疾患の発症に深く関わるストレス脆弱性の形成機序における細胞・分子基盤を明らかにすることである。まず、マウス発達段階における神経新生が成体期のストレス脆弱性を調節しているかを検討した。ストレス脆弱性マウスはストレス耐性マウスに比べて海馬歯状回神経新生が減少していることを見出した。また、幼若期のストレス脆弱性マウスに対し、薬理学的手法により神経新生を増加させたところ、成獣期にストレス耐性を獲得した。この分子メカニズムとして、海馬歯状回に特に高発現しているスタスミンを介した海馬神経新生の制御がストレス脆弱性の形成に関与していることを見出した。
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