研究課題/領域番号 |
15K09811
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中村 雅之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (90332832)
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研究分担者 |
佐野 輝 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30178800)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヒストン修飾 |
研究実績の概要 |
代表者らは臨床活動の中で、疾患の均質化に寄与すると考えられる疾患特異的な中間表現型としての身体表現型を有する発端者から日 本人統合失調症多発家系を見出した。また、家系の臨床遺伝学的研究を行い、家系構成員12名中4名が特異な身体表現型を有して、統 合失調症もしくはその類縁疾患に罹患していることを明らかした。本家系例に対してDNAアレイ(Human Mapping 100K array)によって 全ゲノム遺伝子連鎖解析を行い、LOD Score 2.5の領域を同定し、多型を用いたハプロタイプ解析から1.7cMまで連鎖領域の絞り込みを行った。エキソームシークエンス解析を行ったところ、絞り込んだ連鎖領域内に存在する遺伝子X内にアミノ酸置換(Arg>Thr)を伴うc. 2173C>T変異を同定した。本家系以外の統合失調症患者131名には存在しない稀な変異であり、本家系内発症者にのみ連鎖していた。遺伝子Xについては先行研究において統合失調症罹患者に両親が持たない遺伝子変異(de novo変異)をもつ遺伝子として報告されていた 。また、前述の多施設大規模GWASにおいていくつかの同族遺伝子の関連SNPsも同定されている。これら先行研究の結果と合わせてX遺伝子の変異を有する家系例の報告はいまだなく、我々が同定した変異は疾患変異の可能性が高いことが裏付けられている。本遺伝子産物の機能はヒストン修飾に関連することがわかっている。今回、前回から行なっているCNV解析に加えて、患者由来のリンパ芽球様細胞を作成し、ヒストンに関する活性を予備的に測定したところ、健常者由来のリンパ芽球様細胞と比較して有意に高い結果を得た。今後、健常者数を増やし確かなものにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CNV解析が安定せず、時間を要している。またヒストン修飾活性測定においてもアッセイ系が安定するのに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒストン修飾活性測定するためのアッセイ系のさらに調整して安定した結果を出せるよう系を確立する。 健常者由来のリンパ芽球様細胞の作成も並行して行い、健常者との差異を明らかなものにする。
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