研究課題
うつ病の多様な病態や治療反応の臨床的・生物学的マーカー(ゲノム、エピゲノム、血液中タンパク質など)を無作為比較試験で探索した。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の治療反応性を検討した8つの施設でコンソーシアム(ISPC)を形成し、大規模うつ病患者サンプルで治療反応性におけるGWASを行い、VWA5B1遺伝子やNRG1遺伝子におけるSNPとの相関を見出した。また、SSRIによる治療反応性と、NEO-FFIで評価した人格をアウトカムにした解析において、opennessが高い、あるいはneuroticismが高いことと関わるSNPのpolygenic score (PGS)は治療反応性の低さと有意に関連し。心循環疾患と肥満から導き出されたPGSはSSRIの治療反応と負の相関があることを見出した。エピゲノムな観点からは、ゲノムワイド DNA methylation解析でliprin-α遺伝子やHS3ST1遺伝子のメチル化と関連するサイトを中心とする、218のCpGサイトとパロキセチンの治療反応性が関連していた。ミルタザピンとSSRIの無作為比較試験の結果から、ミルタザピンとSSRIそれぞれの効果、副作用、4週時の反応でのその後の経過の反応予測的中率を提示した。その中で、ミルタザピンの反応性と治療前の血漿中TNFα、IL-2が、SSRIとGM-CSFが相関し、それらのマーカーで治療反応が予測できる可能性が示唆された。また、血漿中miRNA量の網羅的解析の結果、297個のmiRNAが検定補正後もSSRIの治療反応と有意に相関していた。また、ベンラファキシンの臨床試験データを用いて、類似した治療前抑うつ症状パターンを有する患者をクラスター化し、VENの臨床アウトカム、投与量も含めた検討をおこない、不安も中核症状も軽度な群では、投与量は150mg以下が有用である可能性を提示した。
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Neuropsychobiology
巻: 78 ページ: 136~144
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J Neural Transm (Vienna)
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