研究課題/領域番号 |
15K09816
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
丹生谷 正史 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (00228256)
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研究分担者 |
清水 邦夫 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 行動科学研究部門, 教授 (00531641)
戸田 裕之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 精神科学, 講師 (00610677)
鈴木 豪 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 有人宇宙技術部門, 主任医長 (50649035)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | endocytosis / autophagy / BDNF / TrkB / 電気けいれん療法 / depression / stress resilience |
研究実績の概要 |
エンドサイトーシスによって、膜部位から細胞内へと移動する機能蛋白は大きく分けて2つの経路をとる。オートファジー経路を介してライソゾームと融合して解体再利用されるか、リサイクリングエンドソームを介して必要膜部位に再配置されるかである。中枢神経系神経細胞においては、いずれの場合も環境刺激に応じて神経細胞が柔軟に対応する神経可塑性機構を構成しうるメカニズムである。この神経可塑性が結果的に行動学的レジリエンス、ストレス耐性を生むと当研究グループは考え、海馬領域に焦点を当てて研究を施行している。現時点の認識では、背側海馬領域は情報処理に関与しており、腹側海馬領域はストレス処理、感情機構に関与しているとされている。エンドサイトーシス機構、オートファジー機構が強い抗うつ作用を有する、電気痙攣刺激によって機能亢進している可能性を、本年度期間中に示し、海外雑誌へと投稿し受理、出版されている。さらに電気痙攣刺激により、腹側背側海馬領域にて脳由来神経栄養因子蛋白の発現亢進、その受容体であるTrkB蛋白のリン酸化亢進(この蛋白の発現自体はリガンド上昇によるadaptation機構によって発現低下している)を確認し、海外雑誌へと投稿し受理、出版されている。神経栄養因子は神経細胞の機能構造を含めた可塑性に関与する機能蛋白である。電気痙攣刺激とは、難治性のうつ病で臨床的に使用される修正型電気けいれん療法の動物モデルである。ストレスレジリエンス(ストレス耐性)の形成には脳内機能、構造変化を伴うとするのが、当研究グループの主張であることから、相応の結果が得られたと判断している。
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