研究課題
剖検脳を対象とした検討では、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies: DLB)の病理診断に基づく頻度は、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease: AD)に次いで高いことが明らかとなっている。しかし、臨床診断におけるDLBの頻度は、必ずしも高くなく、病理診断の頻度との乖離が指摘され、DLBの初期症状の多様性がその要因の一つと考えられる。最近の病初期の臨床的特徴によって、Prodromal DLBを3つの臨床亜型を提案され、高次脳機能障害を示唆する臨床症状を呈する状態として、軽度認知機能障害(mild cognitive impairment:MCI)発症型(DLB-MCI onset)、せん妄発症型(DLB-delirium onset)、精神症状発症型(DLB-psychiatric onset)に分類している。しかし、精神症状発症型の知見は乏しく、とくに臨床病理学的は少ないのが現状である。そのため、病理学的に新皮質型レビー小体病において、後方視的に初期症状に注目し、精神症状、神経症状、認知機能障害の3つのグループを分類し、比較検討を行った。その結果、発症年齢、罹病期間、死亡年齢、認知症の程度は有意差はなかったが、認知機能障害群でパーキンソン二ズムの程度が他の2群より軽度であることが明らかとなった。一方、大脳老人斑の程度において、認知機能障害群でその程度が他の2群より重度であった。近年の大脳アミロイド沈着の程度が、臨床経過においてパーキンソン二ズムの発現時期と比較して、認知症発症時期と関係することが報告されており、精神症状発症型の病理学的背景を検討するうえで今後の研究に役立つ知見と考えられた。DLBの指標的バイオマーカーを中心として、更なる臨床病理学的検討の蓄積が必要と考えられた。
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