研究課題
統合失調症の脳構造異常のばらつきが、どのような臨床的要因に関連するのかを調査することが本研究の目的である。脳構造はMagnetic Resonance Imaging (MRI) を用いて継時的に評価し、その変化は自己組織化マップとk平均法を用いてパターンを見出す。こうして得られた脳構造変化のパターンとスキャン間の臨床症状、抗精神病薬内服量、日常生活活動などとの関連を探索する。初年度は、臨床的な要因の評価法の確立とMRI撮像の継続を行っている。具体的には、生活活動を自己記入式の評価に加え、客観的指標の導入を行い、生活活動評価法の検証を行っている。また、健常被験者は17名、統合失調症被験者は29名のMRIデータが得られている。評価すべき臨床症状などの変数が多いため、解析を行うためにはさらにサンプル数を増やす必要がある。これまでの我々の研究から、高用量の抗精神病薬が脳構造異常に促進的に関与する可能性が示されている。同じように異常促進的に作用する可能性のあるものとして、免疫異常があり、また、同疾患の脳に保護的に作用する可能性のあるものとして、運動や社会参加など高い日常生活活動が挙げられる。現在、脳画像の継時的な撮像を継続するとともに、こうした情報も収集し、統合失調症の「脳を守る」科学的根拠の探索を行っている。本研究により、統合失調症患者の脳に保護的に作用する要因の同定が可能となることが期待される。
3: やや遅れている
サンプル数が不足しているため、脳画像の解析が開始できていない。
MRIスキャンと臨床評価の継続を行う。
予定よりサンプル数が少なく、解析を開始できなかったため。
データ取得を続けるとともに解析を開始する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件)
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