認知症関連細胞内異常蓄積蛋白の分解に関してはいまだ明らかでない部分が多いが、我々はその蓄積蛋白のリン酸化が分解過程に与える影響を検討した。タウ蛋白のUPS分解、およびTDP-43のCaspaseによる分解においてはリン酸化は影響を与えなかった。しかし、タウ蛋白のCMA分解においては、タウがPKAによりリン酸化されるとライソゾームへの取り込みが増加した。また、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤を添加するとタウ蛋白の一部の部位でリン酸化が亢進することが認められた。統一的に解釈することはできないが、タウ蛋白においては、ある部位のリン酸化が一部の分解過程を促進することが示唆された。
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