研究課題
DSM-5ではためこみ症状が強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder: OCD)から分離され、ためこみ症(Hoarding Disorder: HD)と呼ばれる新しい疾患として定義されている。ためこみ症状と特異的脳領域との関連を示した研究はいくつかあるものの、それらの結果は一致していない。また、DSM-5におけるHDの診断基準を適応してHDと関連する脳構造変化を調べた研究はほとんど存在しない。本研究ではDSM-5におけるHDの診断基準を適応して、HD患者の灰白質(GM)構造の異常を発見することを目的とした。DSM-5におけるHDの診断基準を満たす17名と、年齢・性別をマッチさせたOCD患者、健常対照群(Healthy controls: HCs)それぞれ17名を対象とした。全ての対象者は3テスラのMRIスキャナで検査を行った。3群(HD,OCD,HCs)の灰白質体積に差が存在するかを調査するため、前処理を行った後、SPM12を用いて分散分析を行った。また分散分析の結果を受けて、Brodmann area(BA)10とBA11における2つの関心領域(ROI)の灰白質体積を算出した。3群の平均年齢はそれぞれHD:43.9±11.5歳、OCD:39.9±9.0歳、NCs:42.4±10.4歳であり、発症年齢はHD: 18.2±12.4歳、OCD: 29.8±9.1歳だった。HD群の併存症はOCD:5名、ADHD:3名、ASD:3名と多岐に渡っていた。分散分析において、右前頭前野で3群の間に有意な体積の差異を認めた。BA10とBA11において、HD群は他の2群に比べ有意に灰白質体積が増加していた。
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Transcultural Psychiatry
巻: 55 ページ: 261-285
10.1177/1363461518759203