研究実績の概要 |
本研究によって、①音に対する早期の脳内情報処理に関わるガンマ帯域皮質活動(ガンマオシレーション)が、初発統合失調症では発症後に進行性に障害されることを発見した。さらに、前駆状態を含むハイリスク群では、その進行性の障害が認められなかった(Schizophr Res, 2019)。これにより、統合失調症の発症後に、既知の進行性の脳構造異常に加え、進行性の聴覚情報処理に関わる脳機能異常が生じていることが示唆され、統合失調症の進行性の神経発達障害仮説を裏付ける重要な知見が得られた。
その他、本研究の一環として、以下のような報告ならびに研究に発展した:②fMRIを用いた急性期統合失調症のASSR異常の発見(EBioMedicine 2017)、③統合失調症のθ-γ帯域皮質活動に関する位相-振幅変調異常の同定(Biol Psychiatry CNNI 2018)、④てんかん性精神病における精神病症状の主座の同定(Brain Imaging Behav 2019)、⑤統合失調症の大規模共同研究(脳形態:Neuroimage Clin 2017, NPJ Schizophr 2017、社会機能:Schizophr Res 2018, PCN 2017、眼球運動:Schizophr Res 2018)、⑥気分障害におけるγ帯皮質活動異常についての研究(J Affect Disord 2016)、⑦統合失調症の聴覚判別機能に関する研究、⑧アジア精神病研究コンソーシアムの整備(東京大学・ソウル大学・台湾大学等)、⑨脳波-fMRI同時測定による、時間的および空間的な脳活動の主座の解明。
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