研究課題/領域番号 |
15K09837
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中島 誠 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (90530147)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経症候学 / 脳表ヘモジデローシス / 限局性くも膜下出血 / 一過性局所神経徴候 / 脳皮質下出血 |
研究実績の概要 |
過去に入院した症例の画像の後ろ向き解析を進めている. 済生会熊本病院で限局性くも膜下出血もしくは脳表ヘモジデローシスを呈した症例が8例,うち脳アミロイドアンギオパチーが疑われる症例が2例,熊本大学医学部附属病院で限局性くも膜下出血もしくは脳表ヘモジデローシスを呈した症例が10例,うち脳アミロイドアンギオパチーが疑われた症例が6例,熊本赤十字病院で限局性くも膜下出血もしくは脳表ヘモジデローシスを呈した症例が3例,うち脳アミロイドアンギオパチーが疑われた症例が3例であった.背景因子はさまざまであるが,典型的な一過性局所神経徴候(TFNE)を呈する症例も見られた.済生会熊本病院の症例では2例が脳皮質下出血を呈したが,他院では出血症例はなかった. 今後は後ろ向きの画像解析を進めるとともに,前向きにもこのような症例を登録し,実態および転帰調査を進め,適切な治療方針について検討する方針である. 本研究の一部は,2016年度日本脳卒中学会総会で発表されることが確定している.さらに本研究に関連して,物忘れ外来受診者における脳表ヘモジデローシスについての検討を行い,国際誌に英語論文として発表した.電子掲載後から読者からletterが投稿され,replyも投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各基幹病院の画像データをDICOMデータとして収集し,大学神経内科で解析することを予定していたが,個人情報保護の観点からそのような手法が困難であった.このため,各病院の担当者と連絡をとりながら,少しずつ解析を進めてもらう方針とした. このような手法を用いるために,大学の倫理委員会に研究の倫理審査を依頼し,承認を得た後に各病院の倫理委員会に提出する必要があり,手続き上研究の進捗が遅れている状況である. 本研究の一部は,2016年度日本脳卒中学会総会で発表されることが確定している. 一方,本研究に関連して,精神神経科の物忘れ外来受診者における脳表ヘモジデローシスについての検討を行った.分担研究者である井上泰輝医師が,2016年のAmerican Journal of Neuroradiology誌に発表した.本論文の電子掲載後すぐに,読者からletterが投稿され,これに対するreplyも投稿した.この分野への関心が国際的にも高まっていることが示唆された.
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今後の研究の推進方策 |
上記のような手法で,各病院の担当者に研究方法と画像解析手法を依頼する.またそのための倫理委員会への審査依頼を進める. さらに,前向き登録研究のための研究計画と倫理審査書類を作成し,各病院での研究手続きを進める.この中には,患者背景,検査データ,MRI画像解析,およびバイオマーカーの解析も含める方針である.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった物品購入を次年度にしたこと,学会参加が予定より少なかったこと.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の物品購入および国際,国内学会参加により使用予定.
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