研究課題/領域番号 |
15K09839
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
寺尾 岳 大分大学, 医学部, 教授 (80217413)
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研究分担者 |
児玉 健介 大分大学, 医学部, 助教 (60398261)
白浜 正直 大分大学, 医学部, 助教 (80516097)
河野 健太郎 大分大学, 医学部, 客員研究員 (30555181)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 双極性障害 / 脳画像 / 薬物反応性 |
研究実績の概要 |
この研究においては、気質の神経基盤と推定される部位からどのように脳機能が変化して双極性障害に至るのか、発症した後に再発が繰り返される患者ではどのように脳機能が変化していくのか、などを検討することが主たる目的である。昨年度1年間で、fMRIに関してはうつ病患者5名(男性3名、女性2名)平均年齢43.4歳と双極性障害患者13名(男性11名、女性2名)平均年齢41.8歳を完了した。N-back test の成績を気分障害の疾患別に調べたところ、0 back testでは双極性障害、うつ病、健常者の間に有意差なく、1 back testや2 back testでは双極性障害とうつ病よりも健常者の方が有意に成績が良かった。最も難易度の高い3 back testでは、双極性障害がもっとも成績が悪く、うつ病、健常者の順に成績は良くなり、双極性障害とうつ病、うつ病と健常者の間に有意差を認めた。これらの所見は、N-back testで評価しうる認知機能に関して疾患別に差異があり、双極性障害<うつ病<健常者であることを示唆している。最近、台湾での研究(Chen MH, 2015)で、55歳以上のうつ病1946名、双極性障害345名、年齢や性をマッチさせた健常者2291名を追跡したところ、認知症の罹患率は、双極性障害>うつ病>健常者の順であったという報告があり、認知機能で見ると我々の所見と一致して、双極性障害<うつ病<健常者であった。今後症例数を増やすとともに、画像的に脳のどの部位がN-back testと相関しているか、それが経時的にどのように変化していくかを検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究の目的は、健常者の気質のみの脳画像と、双極性障害初発の患者の脳画像、さらに再発を繰り返した患者の脳画像を比較することで、どのように気質や気分を司る神経基盤の変化があるのかを脳画像を用いて縦断的に多角的に推定していくことである。同一患者をフォローするのは時間的に困難なので、健常者群、発症後間もない群、再発群をそれぞれ横断的に検査し、それらの所見を縦断的に組み立てる。おそらく、双極性障害に関する従来の画像研究は、気質による所見と双極性障害による所見を整理せずに、すべて双極性障害による所見とみなしていた可能性が高く、画像研究をさらに精緻なものにする意義もある。また今までは、疾患の種類、疾患の経過、疾患の病像などによって、気分安定薬の選択などを行ってきたが、疾患の背景にある気質にも注目して治療の使い分けが出来るように検討する。昨年度1年間で、fMRIに関してはうつ病患者5名(男性3名、女性2名)平均年齢43.4歳と双極性障害患者13名(男性11名、女性2名)平均年齢41.8歳を完了した。
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今後の研究の推進方策 |
積極的に被験者のエントリーを行なっていく。 病棟や外来の患者さんにも、今まで以上に声掛けをしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会発表を行なわずに、旅費が30万円分浮いたため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度の症例予定数に満たなかった分も、次年度症例を集める予定であるため、その経費として使用する。 また、学会発表も積極的に行なう。
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