研究実績の概要 |
中間解析として、双極性障害患者15名(双極I型障害6名、II型障害9名)を対象に、n-back testをタスクとしてfMRIを撮像した画像データを解析した。平均年齢は42.8歳、男性11名、女性4名、平均エピソード回数は7.5回、そのうちうつ病エピソードは4.7回、軽躁病エピソードは1.8回、躁病エピソードは1.0回であった。平均罹病期間は14.6年で、検査時のハミルトン抑うつ状態評価尺度平均得点は6.8点、ヤング躁状態評価尺度平均得点は1.1点とほぼ正常気分であった。n-back testの平均正答率は、0 back 74.5%, 1 back 62.7%, 2 back 45.2%, 3 back 43.0%と難易度が上がるにつれて正答率は低下した。 n-back task(0,1,2,3)の正答率を従属変数とし、年齢・性別・双極性障害のタイプ(BPⅠor BPⅡ)、エピソード回数、罹病期間、質問紙(HDS-R, YMRS, BDI)を独立変数として重回帰分析(ステップワイズ法)を行ったところ、0 backや1 backでは性別が正答率を有意に予測し、2 backや3 backでは罹病期間が正答率を有意に予測した。さらに、n-back testをタスクとして賦活される脳部位と年齢、性、罹病期間、エピソード回数の相関を重回帰分析により検討すると、0 backや1 back では相関のあるクラスターはなく、2 backや3 backで右小脳と左下部頭頂葉が有意な相関を示した。
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