研究課題/領域番号 |
15K09842
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
鵜飼 聡 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80324763)
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研究分担者 |
篠崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
辻 富基美 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10347586)
高橋 隼 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10508021)
山本 眞弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80423937)
坂本 友香 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90423938)
山田 信一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70549716)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | うつ病 / 磁気刺激法 / GABA / 治療反応性 |
研究実績の概要 |
本研究の主たる目的は、治療抵抗性うつ病におけるGABA機能障害を神経生理学的に評価し、rTMS治療の治療機作と治療反応性予測指標を明らかにすることである。GABA機能の評価には2連発経頭蓋磁気刺激(paired-pulse transcranial magnetic stimulation: ppTMS)と脳波ガンマ帯域活動(gamma-band activity: GBA)を用いる予定である。平成27年度はGABA機能とrTMS治療の治療機作・反応性との関連を検討するために必要な種々の脳機能・構造画像検査とその解析手法の選択・開発を目指して、それらを用いて精神神経疾患の病態等を検討し、英文論文として発表した。その要旨は、1)GABA機能の調整を介したrTMS治療の作用機作の検討の一環として、rTMS治療を施行した難治性の耳鳴の患者において、ppTMSを用いて皮質興奮性が低下することを、SPECTを用いて視床の血流が上昇することを報告した。2)うつ病と双極性障害における認知機能障害と脳梁白質神経線維の微細構造異常の関連を検討するために、DTI (diffusion tensor imaging)のtract specific analysisを用い、両障害ともに前頭葉を連絡する脳梁白質神経線維の微細構造に障害を持ち、うつ病ではその異常が認知機能障害と関連することを報告した。3)全脳におけるミエリンの異常を簡便かつ鋭敏に捉えるMRIのT1w/T2w比を用いた解析法を開発し、実際に統合失調症で白質・灰白質でのミエリン異常を示すとともにその異常が臨床症状と相関することを示した。今後、得られた知見等を基に、うつ病のrTMS治療前後におけるGABA機能の変化及び白質、ミエリンを含む脳構造・脳機能の変化等を評価することによってrTMS治療の治療機作や治療反応性予測指標を明らかとしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、研究の初年度である平成27年度には、実際に少数のうつ病患者群に対してrTMS治療を施行し、治療前後でのGABA機能の評価、精神症状・全般機能、認知機能等の評価を行う予定にしていたが、現有するrTMS治療機器が研究期間中に変更となる可能性が生じたため、研究目的のうつ病患者群へのrTMS治療の施行を平成27年度はやむなく延期することとなった。その間に、rTMS治療の前後で評価すべきその他の脳機能・構造画像検査とその解析手法の選択・開発を優先しておこない、研究実績の概要の項で記載したような成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的に沿った、実際のうつ病患者を用いたrTMS治療をできるだけ早期に開始して、遅れている進捗状況を改善したい。また、進捗が遅れていることから購入の判断を先送りしていたGBAの測定機器の購入準備を進めるとともに、rTMS治療前後で測定・評価するその他の脳機能・構造画像検査と解析手法を早期に確定させたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実際のうつ病患者を用いたrTMS治療が初年度の平成27年度に開始されなかったことによって研究の進捗が遅れている。それに伴って、初年度に購入を予定していたGBAの測定機器の購入の判断が先送りとなったため物品費が平成27年度に支出されなかったこと、及び、rTMS治療の前後で評価を予定していた認知機能検査に必要な人件費・謝金も支出されなかったことが大きな理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究目的に沿って、実際のうつ病患者を用いたrTMS治療をできるだけ早期に開始する。これによって、研究の進捗の遅れから購入の判断を先送りしていたGBAの測定機器の購入を進めるとともに、rTMS治療前後で評価する認知機能検査に必要な人件費・謝金を支出していく予定である。
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