研究課題/領域番号 |
15K09843
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
太田 晴久 昭和大学, 発達障害医療研究所, 講師 (00439366)
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研究分担者 |
橋本 龍一郎 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (00585838)
金井 智恵子 昭和大学, 医学部, 助教 (00611089)
山田 浩樹 昭和大学, 医学部, 准教授 (20384498)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 注意欠如多動症 / 拡散テンソル画像 |
研究実績の概要 |
本研究は自閉スペクトラム症(Autism spectrum disorder、以下ASD)、注意欠如多動症(attention deficit hyperactivity disorder 、以下ADHD)における脳基盤の異同を健常発達者(TD)との直接比較により検討するものである。発達障害においては脳白質繊維走行の異常がこれまで指摘されており、今回はMRI画像のなかでもDTI(Diffusion Tenor Imaging)の技法を用いて検討している。 これまで141名(ASD 74名、ADHD 27名、TD 40名)の成人発達障害に対して 脳画像解析を施行している。すべて知的障害を伴わない成人を対象としており、3.0T(Siemens)のMRIを用いて撮像した。3群間で年齢、性別において有意な違いはみられなかった。DTIデータはFMRIB Software Library (FSL) version 5.0およびTBSS(Tract-Based Spatial Statistics)を用いて解析した。 TD群と比較してASD群において、corpus callosum, left superior cerebellar peduncle, right cerebral peduncle, right middle cerebellar peduncle and right superior temporal gyrus において拡散異方性の程度を表すFA(Fractional Anisotropy)値の低下がみられた。TD群と比較してADHD群において、middle cerebellar peduncleにおけるFA値の低下がみられた。ASD群ではADHD群と比較して、inferior cerebellar peduncleにおいてFA値が低下していた。 社会機能や運動機能にいて重要な役割を果たす上記部位に白質繊維走行の異常が示された。また、cerebellar peduncleはASDとADHDに共通して異常が示されたが、ASDにおいてその程度がより強かった。すでにMRI画像は撮影しているものの未解析であるデータも残っていることから、今後はそれらを合わせて最終的に解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳画像撮影は当初の予定通りほぼ全て終了しており、研究進捗は概ね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
すでにMRI画像は撮影しているものの未解析であるデータも残っていることから、それらを合わせて最終的に解析する予定である。脳画像解析の技法は目指す方向性によりいくつか存在していることから、それらを組み合わせて結果を出し、論文化に向けて進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳画像撮影は順調に進捗していたが、脳画像解析では新たな手法を試すなどしているために若干の遅れが生じている。今後は脳画像解析のスピードアップを計り、学会発表を積極的に行い、論文化を目指す予定である。学会発表は積極的に行う予定であり、学会参加費や旅費にあてることを検討している。また、学会発表および論文作成に使用でき、かつ脳画像解析(情報処理の負荷が高い)の補助としても使用可能な高性能ノートPCの購入を検討している。
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