研究課題/領域番号 |
15K09844
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
肥田 道彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (60434130)
|
研究分担者 |
大久保 善朗 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (20213663)
舘野 周 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50297917)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | デフォルトモード・ネットワーク / アミロイドイメージング / タウイメージング / 機能的MRI / ポジトロンCT |
研究実績の概要 |
認知症におけるデフォルトモードネットワーク異常に関する分子イメージング研究というテーマで研究を継続している。初年度は、機能的MRIの解析手法の確立とポジトロンCTを用いた認知症のアミロイドイメージング、およびタウイメージングの撮像法の確立を行った。2年目は、確立された機能的イメージングの解析方法に基づき認知症症例や高齢者うつ病で認知症との鑑別が必要な症例、健常人の機能的MRIやポジトロンCTの撮像をメインに行った。 認知症のデフォルトモードネットワークの評価にあたっては、機能的MRIを用いて健常対照群においてデフォルトモードネットワークに関連する内側前頭皮質、両側下頭頂皮質、後部帯状回の4領域間の機能的結合を確認することができた。我々の解析結果から、高齢者うつ病では、左頭頂皮質の機能的結合が障害されるのに対し、アルツハイマー型認知症では、デフォルトモードネットワークの中でも空間認知に重要な役割をするといわれている右下頭頂皮質の機能的ネットワークの障害があることが示唆された。また、ポジトロンCTの結果から、軽度認知機能障害、アルツハイマー型認知症においてアミロイドおよびタウタンパクの集積が徐々に進行する傾向を確認することができた。 これまでの解析結果に基づき、デフォルトモードネットワークの機能的結合とポジトロンCTを用いたアミロイドやタウの集積がどのように関係して認知症の病態を生み出しているのかをさらに明らかにしていきたいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、健常高齢者および軽度認知機能障害、早期アルツハイマー病症例の機能的MRIとポジトロンCTのデータを順調に集積できている。また、健常対照群と認知症患者群におけるデフォルトモードネットワークの変化やアミロイドおよびタウタンパクの集積を検証することができている。現時点で、健常対照群6名、高齢者のタウイメージングを14名に関する撮像を行うことができた。認知症およびその予備群においては7名、認知症と鑑別を要する症例に関しても7症例撮像をおこなうことができており、順調に計画は推移しているものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
健常高齢者と認知症患者のデフォルトモードネットワークの相違について確認し、ポジトロンCTで撮像されたアミロイドやタウタンパクのイメージングの結果とどのように関連するかについて、蓄積されたデータをもとに明らかにしていきたいと考えている。認知症の診断においては、認知症とうつ病の鑑別が困難な症例もあるため、健常者、認知症、うつ病など認知症以外の疾患の鑑別に機能的MRI・分子イメージング双方を用いた画像診断の有用性についてもさらに検証を継続していきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度末に撮像予定であった機能的MRIと分子イメージングが延期になった日程があり、その未実施分の使用額がH29年度に持ち越しとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
機能的MRIおよびアミロイド・タウイメージングの延期分の実施および脳機能画像解析の実施に役立てたい。
|