研究課題/領域番号 |
15K09846
|
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
宮本 修 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00253287)
|
研究分担者 |
陸 豊 川崎医科大学, 医学部, 助教 (20708557) [辞退]
岡部 直彦 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30614276)
氷見 直之 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70412161)
宮崎 哲治 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50412185)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ECS / ストレス / うつ様モデル / リアノジン受容体 / Ca2+ |
研究実績の概要 |
マウス(C57BL/6)をストレス群、電気けいれん刺激(ECS)群、ストレス+ECS群、正常コントロール群の4群に分けた。ストレスとして1日3~7時間の拘束・水浸負荷を15日間与え、これをうつ様モデルとした。ECS群についてはストレス2週間後に1日1回の電気刺激を2週間行った。ECSの条件は刺激後5~10秒以上のけいれんが起こる強さ(80Hz x 30mA x 1.2sec)とし、ストレス状態は、行動学的(オープンフィールド試験、強制水泳試験、尾懸垂試験など)および組織学的(海馬歯状回における新生神経細胞数およびBDNF陽性細胞数)に評価した。さらに、生化学的検討では、海馬内のBDNF、CaMキナーゼIIのリン酸化比率(pCaMKII/CaMKII)、リアノジン受容体 (RyRs)、イノシトール三リン酸受容体1 (IP3R1) のタンパク発現量の変化をウェスタンブロッティング法でそれぞれ調べた。 うつ様モデルでは強制水泳試験や尾懸垂試験における潜時の増加および、海馬歯状回における新生神経細胞数の減少が見られ、これらはECSを与えることで正常コントロールの値に戻った。一方、生化学検討においてはうつ様モデルマウスの海馬においてpCaMKII/CaMKIIの変化は見られなかったが、RyRsはRyR1,RyR2, RyR3のいずれのサブタイプも増大し、この増大は(特にRyR2において)ECSによって減弱された。一方、IP3R1はRyRs同様ストレスによって増大したが、ECSの効果は見られなかった。以上のことから、うつ様病態時にはRyRsを介したCa2+シグナル経路に何らかの変化が起こり、ECSがその変化を是正していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
うつ様モデルマウスの作製条件およびECTの条件設定が修了した。現在、カルシウム関連の細胞内情報伝達系の検索を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
ECSの治療効果にRyRが関与することを明らかにするために、RyRのメッセンジャーレベルでの変化やRyRのアンタゴニストであるダントロレンを投与してECSの効果がどのように変化するかなどについて行動学的、組織学的に検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通りの予算執行であったが、参加予定の学会旅費が計画より少なかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の物品費に組み込む予定である。
|