研究課題/領域番号 |
15K09848
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
宮本 浩行 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (90312280)
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研究分担者 |
天野 賢治 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (60333340) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シナプス伝達 / てんかん / Stxbp1 / Munc18-1 / 大田原症候群 / 大脳基底核 |
研究実績の概要 |
Munc18-1タンパク質(遺伝子STXBP1)は神経シナプスに局在しシナプス小胞やsyntaxin-1分子と複合体を形成して神経伝達物質放出を制御しており、Stxbp1欠損により興奮性・抑制性のシナプス伝達が消失・低下する。この遺伝子の変異は乳幼児の重篤なてんかんと精神運動発達障害を示す大田原症候群の患者をはじめヒト神経疾患に高頻度で見いだされている。本研究はMunc18-1(Stxbp1)欠損マウスを用いてMunc18-1分子欠損とてんかんとの因果関係を確立する。ついで1.てんかん発生部位と伝達機構の同定、2.興奮性・抑制性シナプス伝達の寄与、3.てんかんの制御、4.記憶・学習、の各項目を検討し、シナプス伝達異常による難治性てんかんや知的障害の分子・神経機構を統合的に明らかにすることを目的としている。 マウスの大脳皮質脳波・筋電図記録とビデオ観察によりStxbp1欠損マウスが棘・徐波脳波と一時的行動停止を伴う欠神てんかん(けいれん発作無く意識消失を示すてんかんの一種で、カルシウムチャネル阻害剤で抑制される)の症状が観察された。ついで脳内てんかん発生部位を深部局所電場同時記録法で調べた結果、大脳皮質、大脳基底核を中心とした領域に発生源が推定された。以上の知見はシナプス伝達の低下が全般性の欠神てんかんを引き起こすことを支持している。本年度、興奮・抑制性ニューロンおよび脳領域特異的Stxbp1コンディショナルノックアウトマウスの解析、電気・薬理的神経活動操作によりてんかん誘発領域の絞り込みが進展した。さらにStxbp1マウスの行動異常(認知・情動)を見出し、その薬理的改善に関する研究を進めている。 今後、てんかん責任領域の神経活動解析、領域・細胞種特異的神経活動操作を行い、てんかん回路や脳活動状態の恒常性維持のメカニズムを明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度に計画した実験はほぼ完了した。また期待された結果に加えて予想外の知見も得て、研究が進展した。さらに病態メカニズムや治療の可能性を追求する実験を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究計画に従って研究を進める。さらに焦点となる脳領域において遺伝薬理学的手法、シングルユニット神経活動記録法、選択的神経回路の操作を適用しててんかんの生成の神経メカニズムの解明に重点を置く。
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