研究課題
(1) TDP-43ノックインマウスの作製ヒトとマウスでアミノ酸配列が大きく異なるTDP-43遺伝子のエクソン5, 6部分を、ゲノム編集によりヒト型に置換したTDP-43ノックインマウスの作製をおこなった。マウスTDP-43のイントロン5を切断するためのsingle-guide RNA (sgRNA)、二本鎖DNA切断酵素Cas9のmRNA、相同組換え用ヒトTDP-43のエクソン5, 6を含んだドナーDNAをマウス受精卵に導入した。産まれた個体の中から、相同組換えによってヒト型TDP-43が挿入されたマウス3系統を樹立した。繁殖後ヒト型TDP-43の発現を確認する予定である。(2) C9ORF72ノックインマウスの作製マウスC9ORF72のエクソン1の上流にGGGGCCリピート部分に相当する場所があり、この部位へゲノム編集技術を利用し、GGGGCCが145回繰り返された(GGGGCC)145の挿入をおこなった。C9ORF72を標的としたsgRNA、二本鎖DNA切断酵素Cas9のmRNA、相同組換えに用いる(GGGGCC)x145配列を含んだドナーDNAの3つをマウス受精卵の雄性前核に注入後、偽妊娠マウスの子宮内へ受精卵を戻した。産まれた個体の中から、相同組換えによって(GGGGCC)x145が挿入されたマウスを選択し、繁殖後実験に用いる予定である。
2: おおむね順調に進展している
TDP-43ノックインマウス、C9orf72ノックインマウスともにsgRNAの作製、ドナーDNAの作製、および受精卵へのインジェクションが計画通り進んでいる。
当初ワイルドタイプのCas9をゲノム編集に使用していたが、2016年1月にCas9に変異を入れ、off-target効果を減少できるCas9-HF1が開発された。今後の受精卵へのインジェクションにはCas9-HF1を使用し、予期しない部位への遺伝子変異が導入されていない個体作製を目指す予定である。
購入した実験動物麻酔装置が計画より安価であったため。
次年度使用額はAlzheimer Association International Conferenceにおける研究成果発表および共同研究の際の旅費に充当する計画である。
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http://www.igakuken.or.jp/
http://www.igakuken.or.jp/topics/2015/1003.html