研究課題/領域番号 |
15K09853
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
朝倉 聡 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30333602)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 青年期 / 抑うつ症状 / 人格特性 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、大学新入学時に抑うつ症状の評価として行ったPatient Health Questionnaire (PHQ-9)と人格特性の評価して行ったTemperament and Character Inventory (TCI)が3年後の大学4年時の大うつ病エピソードおよび自殺関連念慮にどう関連しているかの検討を行った。 大学入学時にPHQ-9およびTCIを、3年後の大学4年時にPHQ-9を完全に回答していた2194例について検討を行った。大学4年時のPHQ-9によるアルゴリズム診断での大うつ病エピソードおよびPHQ-9の9項目目「死んだ方がましだ、あるいは自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがある」を自殺関連念慮として多重ロジスティック回帰分析を行った。さらに、再帰分割分析により大うつ病エピソードおよび自殺関連念慮の関連について検討を行った。 多重ロジスティック回帰分析からは、大学4年時の大うつ病エピソードおよび自殺関連念慮には大学入学時のPHQ-9でのうつ病エピソード、自殺関連念慮およびTCIでの性格傾向として自己志向の低さが関連している結果となった。再帰分割分析からは、大学入学時のPHQ-9で15以上が大学4年時の大うつ病エピソードの危険性と関連があり、また、大学入学時のPHQ-9で5以上およびPHQ-9の9項目目で1以上が大学4年時の自殺関連念慮の危険性と関連していた。 これらの結果から、入学時のうつ病エピソード、自殺関連念慮、自己志向の低い性格傾向が3年後の大学4年時の大うつ病エピソードと自殺関連念慮に関連すると考えられ、入学時にこれらの特徴を持つ学生については早期の介入や在学中の注意深い経過観察が求められると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学入学時、定期健康診断時のデータは収集できているが、データベースの構築が遅れたため大学保健センター受診学生の抑うつ症状、自尊心・自己効力感、絶望感、社交不安、ライフイベント等のデータはまだ不足している。また、このため解析が不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
大学保健センター受診学生についての抑うつ症状、自尊心・自己効力感、絶望感、社交不安、ライフイベント等のデータを蓄積し、大学入学時の抑うつ症状、人格特性や定期健康診断時の抑うつ症状のデータとあわせた解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、データ収集、データ入力、解析のための人件費・謝金が発生しなかった。次年度は、解析、論文投稿に関わる費用として使用する。
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