研究対象はADHD患者40名、ASD患者40名、定型発達者20名である。実験モダリティは2つ、すなわち脳磁図と脳波で、実験刺激も2つ、すなわち課題遂行時と安静時である。脳磁図は研究向き、脳波は臨床向きであり、前者から後者への技術移転可能性を検討した。同じく実験課題についても課題遂行時より安静時の測定の方が実施が一般的に容易であり、両者の有効性と利便性を比較した。脳波の解析については、新たに購入した脳波CDM解析機能プログラムを用いた。
結果、神経認知と社会認知の、磁場・電場測定装置外での課題成績は、特にASD群で成績不良の傾向があったが、磁場・電場反応は、有意な群間差は認めないようである。むしろ、安静時のADHD群は脳波測定において、既報と類似の、頭皮上中心部付近の電極で、シータ波パワーの相対的増大があった。このような症例は、脳磁図でも対応する所見がみてとれた。所見が2つのモダリティで同定されたことは、ある種の信頼性を意味するものであるが、群間で検討した場合の感度および特異度は決して高くはないのが問題であった。
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