研究課題
進行性核上性麻痺(PSP)の超早期から進行期までのタウ陽性病変の脳内での進展と,タウの過剰リン酸化や立体構造変化の進行を検討するためにPSP14症例と嗜銀顆粒病(AGD)26症例について,tufted astrocytesの形成・成熟過程の免疫組織学的検討を行った.これらの症例の尾状核,被殻におけるgranular/fuzzy astrocyte(GFA)とtufted astrocyte(TA)の染色性と量を抗タウ抗体(AT8,AT100,AT180,AT270,PHF-1,Alz-50,MC-1,T46,T22,RD3,RD4),抗ユビキチン抗体(MAB1510),抗p62抗体(p62N,p62C)で評価した.AGD stage Iでは被殻と尾状核のGFAはAT8, AT100,AT180,PHF-1,Alz-50で染色され他の抗体では染色されなかった.GFAの数は被殻が尾状核より多かった.AGD stage IIでは,被殻で4Rタウ特異抗体陽性のGFAが少数出現した.AGD stage IIIでは更に他の抗タウ抗体(AT270,MC-1,T46)でも染色されるGFAやRD4陽性GFAが急激に増加し,p62抗体,抗ユビキチン抗体でも染色されるGFAが出現した.PSPのGFAはAGD stage IIIのGFAと同様の染色パターンで,AGDより多かった.TAは尾状核と被殻で同様の染色パターンを示したが,GFAより数は少なかった.以上から,AGDおよびPSPのtufted astrocytesにおいては連続的にタウのリン酸化が進行し,タウオリゴマーが形成され,蛋白分解のためのユビキチン-プロテアソーム系とマクロオートファジー-リソソーム系が関与し始めることが推測された.以上の結果をまとめた論文を執筆中である.
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 4件)
老年精神医学雑誌
巻: 28 ページ: 1145-1155
Neuropathology
巻: 37 ページ: 544-559
10.1111/neup.12394
巻: 28 ページ: 1277-1289
Clinical Neuroscience
巻: 35 ページ: 1376-1377