研究課題/領域番号 |
15K09870
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
藤瀬 昇 熊本大学, 保健センター, 教授 (20305014)
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研究分担者 |
池田 学 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60284395)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 老年期うつ病 / 地域介入 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、須恵・深田・岡原校区を対象とし、8月2日付けで1821名の高齢住民に「こころの健康アンケート」を郵送し、1015名(55.7%)から有効回答を得た。そのうち、一定の基準(GDSが6点以上、経済的困窮、希死念慮)に該当した275名(27.1%)に対し2次調査の案内を郵送し、10月21日に岡原保健センター、10月25日に須恵文化ホール(午前)とせきれい館(午後)において専門医による2次の面接調査を行った。その結果、69名(25.1%)が2次調査に参加し、うつ病4名、うつ状態1名、適応障害3名、認知症および軽度認知障害(疑い含む)14名が診断され、かかりつけ医に情報提供したり、役場保健師に経過観察を依頼した。一方、2次調査に参加のなかった該当住民に対しては、11月中旬に電話調査を実施し、192名(93.2%)の方に電話調査を実施することが出来た。電話調査では、プライマリケア領域でうつ病のスクリーニングに有効とされているPHQ-2(Patient Health Questionnaire-2)を用いてうつ状態の住民をスクリーニングした。その結果、29名の住民にうつ状態が疑われ、専門医による健康相談を勧めた住民:14名、行政の福祉相談を勧めた住民:2名、保健師による経過観察とした住民:13名であった。以上の結果を、町行政と医師会との連絡会においても報告した。 また、今回の電話調査から、日中の時間帯に電話するよりも、夕方の時間帯のほうが断然に高い確率で在宅されているということが判明したことは大変有意義であった。したがって次年度からは電話調査に関しては、主に夕方の実施を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近隣の精神科病院に所属する精神保健福祉士3名の協力が得られ、2次の面接調査への不参加者を対象とした電話調査がスムーズに行えた。 また、H26-H27年度の2年間の調査において、調査への参加者を、面接調査により保健師フォローとなった群(A群:22名)、面接で問題なかった群(B群:112名)、電話調査により保健師フォローとなった群(C群:44名)、電話調査で問題なかった群(D群:310名)、電話不可群(E群:67名)の抑うつについて比較してみたところ、A群とC群は抑うつが疑われる(GDSがカットオフ値以上)人の割合と抑うつの程度(GDS平均点)が他の群に比べ有意に高いことが分かり、われわれの調査において両群は概ね類似した抑うつの程度を呈した集団であることが推測された。したがって、面接調査への参加率は依然低いものの、抑うつ者のスクリーニングにおいて電話調査は一定程度有効に機能しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、電話調査を夕方に実施することにより調査の効率を高め、2次該当者へのアプローチ率をさらに高めたいと考えている。また、3年間で町内を一巡することになるため、H26-H28の3年分のデータを用いて、改めて抑うつスクリーニングにおける電話調査の有効性を検証したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
面接調査および電話調査のための人件費が予想より低額となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
さらに電話調査の実施率を上げるための人件費と、予想されるデータ入力費用の増額に充てたい。
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