本研究では、精神科治療の必要のある精神障害の妊娠中や授乳中の女性が精神科医師と意見を共有しながら治療選択するシェアードデシジョンモデルに基づく意思決定支援システムシステムを開発することを目的とした。さらに、そのシステムを用いた無作為化比較対照試験(以下RCTと省略)を行い、有効性を検証した。平成30年度はRCTのサブ解析を進めた。意思決定支援を行うための精神科医用のマニュアル「精神科医のための妊娠・授乳中の向精神薬処方の手引き」を、精神科医の意見などを取り入れブラッシュアップした。意思決定支援を行うための精神科医用のマニュアル「精神科医のための妊娠・授乳中の向精神薬処方の手引きについては、国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターと協働し、均てん化のための協議を進めた。平成29年度に作成した、助産師・看護師・保健師・子育て支援機関スタッフといった母子保健関係者向けの周産期メンタルヘルス対応についての研修会プログラムをブラッシュアップし、本研究成果のシェアードデシジョンモデルの有効性、妊娠中・授乳中の薬物療法の考え方と妊産婦へのアドバイス内容を盛り込んだ。医療者・母子保健関係者で共有していくように、この研修会を様々な自治体で開催した。また、山梨県・長野県の保健師と協働し、シェアードデシジョンメイキングに基づく当事者向けの向精神薬内服のパンフレットを作成した。また、妊娠中の両親学級用の啓発資材を作成し、本研究の均てん化を図った。
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