研究課題/領域番号 |
15K09881
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 千恵次 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10292012)
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研究分担者 |
吉永 恵一郎 北海道大学, 医学研究科, 客員研究員 (30435961)
真鍋 治 北海道大学, 医学研究科, 特任助教 (40443957)
真鍋 徳子 北海道大学, 大学病院, 講師 (70463742)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CT / 虚血性心疾患 / 心筋血流量 / 定量測定 |
研究実績の概要 |
320列マルチスライスCT Perfusion imaging画像から局所心筋血流量 (MBF) を安定して定量するためのCT画像から局所心筋血流量 (MBF) を安定して定量するためのアルゴリズムを改良し、15O-H2O PET との比較検討を行った。 健常者2名と虚血性心疾患患者13名(男性9名女性4名、64±11歳)を対象に安静時とATP負荷時の心筋Perfusion CTと15O-H2O 心筋PETを施行した。CTにおける左室内腔血液曲線のハンスフィールド(HU)値を安定化させるために下行大動脈のHU値を差分し、さらにガンマ曲線補正を行った。Single-compartment modelとRenkin-Crone modelにて心臓CTから求めた心筋3区域(LAD、RCA、LCX)のMBFを15O-H2O PETのMBFと比較した。 結果は、ガンマ曲線補正を用いた心臓CTから導いたMBFは15O-H2O PETから得たMBFと有意な正相関を認めた(r=0.851, n=93)。相関係数はガンマ曲線補正を用いないとき(r=0.612)よりも有意に高かった(p<0.001)。結論として、心臓CTから安定して局所MBFを導く方法を考案し、15O-H2O PETから得たMBFと良好な相関を得た。 この研究の新規性は、現状ダイナミック心筋CTの撮像において造影剤が既に心内腔に入ったタイミングで撮像が開始され、撮像データの時間濃度曲線の初期データが欠落することにより、心筋血流の定量解析が困難な症例がある。心筋血流量を得る微分方程式は漸化式を解いて求めるアルゴリズムを使用しているため、漸化式による解法が困難、不正確になる。そこで、造影剤が心内腔に流入する直前に第1フレームが撮像されたと仮定した曲線をガンマ関数を外挿して推定するガンマ曲線フィッティングという手法を考案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
320列マルチスライスCTを用いた心筋ダイナミック造影検査データから得られた局所心筋血流量を、15O-H2O PETから得た局所心筋血流量と良好な相関を得るように、解析アルゴリズムを改良することを平成28年度の研究目標とした。その目的は達成され、全国レベルの学会に2回発表し、さらに平成29年6月の米国核医学会の口演発表にも採択された。
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今後の研究の推進方策 |
320列マルチスライスCTを用いた心筋ダイナミック造影データを3コンパートメントモデル解析することで、虚血既往のある障害心筋の造影剤停滞率を分布容積から推定するアルゴリズムを開発する予定である。99%以上の冠動脈狭窄を伴う局所心筋のダイナミック造影データから速度定数k1、k2、k3、k4を算出し、分布容積DV (Distribution volume)を計算する。このDV値は、正常心筋より大きい値を示すことが予想され、それが確認されれば、CTを用いた心筋ダイナミック造影データから、虚血心筋の障害程度を定量的に評価できると期待する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会出張が平成28年4月であったため、立替え予算執行の手続きを失念していたため 学会出張旅費を科学研究費で支払うことができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年6月に米国核医学会で本研究の発表が採択されているので、その旅費に使用する。
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