研究実績の概要 |
種々の腫瘍での血管構築を知る目的で複数の細胞株につき、腫瘍モデルを複数ずつ作成し、治療前後での各種トレーサの集積変化をモニタリングした。細胞株は従来のM21の他に、A-431(類上皮がん, EGFR高発現)、K-562(CML)、IM-9(骨髄腫)、A-549(腺癌)、MCF-7(乳癌)、KP-3(膵癌)、KMRC-1(腎癌)である。[Ga-68]-DOTA-RGDfK, [Ga-68]-DOTA-PEG-RGDfK, [F-18]-FDG、[C-11]-Acetate, [F-18]-Fluorothymidine, [F-18]-Alfatideでモデル動物を評価群に分別し、治療反応性と集積データを比較した。動物専用のPET装置を使用し、検査は、ベースラインが1コース目開始前、interimとして3コース目開始前の撮像とした。各癌の存在する臓器の血行動態を考慮し2コンパートメント解析を実施した。診断は、専用のワークステーションで作成し行い、視覚的な診断と定量的指標に基づく診断の併用を実施した。半定量指標のうち、TLG、MTVについてはSUVmaxやSULpeakと比較し標準偏差が大きい傾向があった。dynamic dataとしてKtrans、Kep、AUCを解析しプロファイルカーブの近似関数は6次式のフィッティングが最も誤差が少ないと考えられた。腫瘍により腫瘍死個体数、薬剤反応性低下のためばらつきがみられたが、増殖能の高いinterimでの反応性評価は良好で治療終了時と相関する場合が多かった。各パラメータの評価では、体積指標を加味しかつ病変部の全体を表現できる指標である、ΣTLG、ΣMTVとdynamic dataより得られるKtransが指標として有望な候補と考えられるが、この点に関しては今後継続して研究していく方針としている。
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