研究課題/領域番号 |
15K09887
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松原 孝祐 金沢大学, 保健学系, 准教授 (30507372)
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研究分担者 |
小林 正尚 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 講師 (80720979)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | X線 / コンピュータ断層撮影 / 被ばく / 線量 / エネルギー |
研究実績の概要 |
新しい概念を有するX線CT装置における線量・エネルギー評価法の確立を目標とした研究を行った。 まず「Dual-energy CTと小型線量計の一般撮影装置とDual-source CT装置を使用した二段階校正法」を考案し、その精度を検証した。その結果、Dual-source CTを使用したDual-energy撮影における、あらゆる管電圧の組み合わせに対する校正定数を得ることができた。また、本手法で得られた校正定数を用いることによって、Dual-energy撮影における被ばく線量をより正確に評価できるようになった。これまでDual-source CTを使用したDual-energy撮影における実効エネルギーを評価する方法は存在しなかったが、本手法により実効エネルギーの評価が可能となったため、今後のDual-source CTを用いたDual-energy撮影における被ばく線量評価において標準的に用いられる手法となることが期待される。 また「Area-detector CT装置の線量指数測定における最適手法の解明」の一環として、米国医学物理士会が提唱する平衡線量による方法に着目し、平衡線量を測定するために使用する線量計の最適化に関する研究を行った。現在入手可能な0.6cc電離箱線量計と半導体線量計により得られる平衡線量を比較したところ、両者に差異が認められ、考察の結果、0.6cc電離箱線量計はボリューム効果による線量値への影響、半導体線量計はエネルギー依存性による線量値への影響があることが確認された。これらの影響を除外する方法の1つとして、より電離容積の小さい電離箱線量計を使用する方法が考えられることから、引き続き検討を続ける必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、平成27年度に実施を予定していた「Dual-source CT装置の簡易的実効エネルギー測定法の精度検証」が都合により行えなかったが、代わりに平成28年度に実施予定だった「小型線量計の一般撮影装置とDual-source CT装置を使用した二段階校正法の精度検証」を前倒しに実施したため、この点はおおむね順調に進展していると判断できる。一方「Area-detector CT装置のCT線量指数測定における最適手法の解明」については、現状の問題点を把握できたものの、最適手法の解明には未だ至っておらず、更なる検討を要する。以上から現在までの進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに解明できた問題点を踏まえ、引き続き「Area-detector CT装置のCT線量指数測定における最適手法の解明」に取り組む。具体的には、特製の0.18ccの電離箱線量計を借用し、得られる平衡線量の精度について検証したい考えである。また、残されたテーマである「Dual-source CT装置の簡易的実効エネルギー測定法の精度検証」「Area-detector CT装置のX線ビームの体軸方向におけるエネルギー特性の解明」「Dual-source CT装置を用いた高速撮影時における最適な線量評価法の解明」にも引き続き取り組み、新しい概念を有するX線CT装置における線量・エネルギー評価法の確立を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究テーマの1つである「Dual-energy CT装置の簡易的実効エネルギー測定法の精度検証」で使用予定であった昨年度購入予定であった「組織等価CTファントム」がメーカの都合により手配できず、購入が今年度にずれこんだため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度実施できなかった「Dual-energy CT装置の簡易的実効エネルギー測定法の精度検証」を実施するにあたり、組織等価CTファントムを購入する。併せて、研究実施計画の遂行に必要な物品を購入する。また、国際会議を中心とした学会発表および欧文誌を中心とした論文投稿を行うにあたり、旅費、学会参加登録費、英文校閲費を支出する。
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