Dual-source CT装置を用いた高速撮影時における最適な線量評価法の解明を行った。 高速撮影時における被ばく線量の特性として、高速撮影時は通常撮影時と比較して撮影ごとの吸収線量値の変動が大きく、特に乳房や皮膚といった表在臓器で変動が大きくなることが確認された。この理由としては、高速撮影時には寝台移動速度が非常に速いことに加えて、撮影時のX線管の位置が撮影ごとに異なることが挙げられる。 Dual-source CT装置における高速撮影法の1つであるFlash Spiral法を適用し、胸部領域を対象としたCT撮影を施行した場合の、平均的な乳房吸収線量測定時に必要な撮影累積回数について検討を行った。その結果、6回以上の累積によって理論値(収束値を理論値と仮定)との誤差を概ね10%以下に抑えることが可能であった。累積回数を更に増やすことによって、更に理論値との誤差を低減させることが可能であるが、極端に多い累積回数を推奨することは現実的ではないため、ここでは6回以上という累積回数を提案したい。 これらの結果は、新しい概念を有するX線CT装置における線量・エネルギー評価法の確立に向けた、非常に有意義な結果であるといえる。 また、過年度に実施したArea-detector CT装置の線量指数測定における最適手法の解明に関する成果を国際学会にて発表するとともに、Dual-source CT装置の簡易的実効エネルギー測定法の精度検証に関する成果をとりまとめた論文の投稿を行った。論文は医学物理学分野の欧文誌に掲載された。
|