研究課題/領域番号 |
15K09892
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
倉田 聖 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (40423438)
|
研究分担者 |
上谷 晃由 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (00423450)
城戸 輝仁 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (50403837)
望月 輝一 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (80145094)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | リスク領域 / 心筋梗塞 / 心筋虚血 / 支配領域 |
研究実績の概要 |
我々は、冠動脈CTアンギオグラフィのデータを用いて、冠動脈支配領域(範囲)を自動計測するソフトウェアをこれまで開発し、冠動脈狭窄の及ぼす支配かん流域を非侵襲的に評価する臨床応用についてこれまで報告している(Kurata. et al. European Radiology Eur Radiol. 2015;25:49-57)。 本研究では、CT解析ソフトウェアによる冠動脈支配領域の自動抽出による定量評価の精度を明らかにすることを目的として、1)心筋梗塞症例における臨床研究と2)豚摘出心での基礎研究の2つのサブ研究をすすめている。 1)心筋梗塞症例における臨床研究 心筋梗塞の初回発症例15名を解析した初期データでは、CTでの自動解析による梗塞責任病変が及ぼすリスク領域と心臓MRIのガドリニウム遅延造影が示す梗塞領域は、33.2 ± 9.4%と17.1 ± 8.1%であった(全左心室心筋に対する容積比)。この2つの指標は統計学的にも有意な相関がみられ、13人(87%)の症例ではCTのリスク領域がMRIの梗塞領域を解剖学的にカバーし、量的にも大きく算出されていることが明らかなった。 心臓CTデータから得られるリスク領域の定量評価は、最大リスク領域として実際の心筋梗塞の及ぼす範囲を推定できる評価項目になりうる可能性があると考えられた。 2016年(平成28年)の急性心筋梗塞例は再発例や重症例が多く、除外基準(心不全やCTの画質)にあたる症例が多く見られた。循環器内科グループと適応と研究のワークフローについて再度相談する予定にしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)心筋梗塞症例における心臓MRIの梗塞イメージングと比較する臨床研究について この研究アームに適した症例のリクルートについて、当施設の循環器内科と、研究協力施設(オランダ・エラスムス大学)放射線科心臓CT研究グループとの共同研究を行い、症例・臨床データの収集・解析を進めている。 2015年)11月に2週間エラスムス大学に出張し、それまで収集された臨床情報や画像データの収集や確認することができた。 2016年)心筋梗塞の初回発症例15名を解析した初期データの解析結果(前述)では、心臓CTデータから得られるリスク領域の定量評価は、最大リスク領域として実際の心筋梗塞の及ぼす範囲を推定できる評価項目になりうる可能性があると考えられた。 2)基礎研究について 食用豚の摘出心の入手について関係機関・保健所と再度相談したが、通常の食用豚の摘出心は病原性の審査を行うために無作為に心臓に割(切り込み)を入れることを義務づけており、そうでない豚は1頭丸ごと購入する必要があることが判明した。 心臓外科手術トレーニングに用の豚摘出心を手に入れてex vivoの冠動脈CTアンギオグラフィを試みたが、冠動脈の末梢まで適切に造影されず、基礎研究として適さないことが判明した。
|
今後の研究の推進方策 |
心筋梗塞症例における心臓MRIの梗塞イメージングと比較する臨床研究をメインに症例を重ねていき、データの解析を進めていく予定です。
|
次年度使用額が生じた理由 |
食用豚の摘出心を用いた基礎研究(サブ研究)において、適正なモデル作成を安定して行うことが担保できずに基礎研究を中断したため位に次年度使用額が生じました。
|
次年度使用額の使用計画 |
今後は臨床研究でのデータ解析に行い、研究を進めていく予定にしています。
|