研究課題
頚動脈プラークは脳梗塞や一過性脳虚血疾患の原因であり、その脆弱性と複合化進行の予測を正確に推定できれば最適な治療法の選択に役立つ。従来のMRでのT1/T2強調像によるプラークの性状評価では不十分であった。PET/MRハイブリッド装置ではPETとMRを同時に収集し、内部性状と炎症・代謝活性度を重ね合わせ可視化でき、頚動脈プラークの脆弱性、危険度を測定が可能と期待される。平成29年度は,前年度に引き続き、PET撮像の高空間分解能化およびMRによる頚動脈の高空間分解能と高時間分解能の動画撮像に取り組み、ボクセル単位で壁の動きを解析するためのソフトの改良に取り組んだ。高分解能PET画像では機器の限界である2mmボクセル画像での動態画像の取得と、撮像開始のタイミングによる頚動脈の壁/内腔の集積比について検討した。MRではblack-bloodとbright-bloodの高空間分解能(0.75mmx0.75mmx3mm)のシネ画像を取得し、拍動に伴う壁の動きをボクセル単位で追跡し、ストレイン解析を試みた。PETの高空間分解能画像の取得は可能であったが、FDG投与1時間後と2時間後の画像ともに血中FDG活性が高く、頚動脈壁と内腔の集積の完全な分別は困難であった。MR心電図同期撮像による壁運動の動画像では、空間分解能を高めると撮像時間が延長し、信号強度も弱く、phase-artifactのかぶりも生じ、壁全周でのボクセルトラッキングが不可能であった。またストレイン解析に必要な壁の移動量を検知することができなかった。今後は、デジタルPETなどのさらなる高空間分解能撮像の可能なPET装置が必要であると思われる。MRによるストレイン解析も動画の高精度化とわずかなボクセル移動量もベクトル化できるようにソフト開発が必要である。
すべて 2017
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European Radiology
巻: 27 ページ: 5024~5033
10.1007/s00330-017-4912-y