研究課題/領域番号 |
15K09895
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
淵上 剛志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (30432206)
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研究分担者 |
大庭 誠 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (20396716)
吉田 さくら 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (40736419)
中山 守雄 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (60164373)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 薬学 / 放射線 / 内用放射線療法 / 癌 |
研究実績の概要 |
本研究では、がん組織を選択的に攻撃できる内用放射線治療薬剤として機能しうる、最もがん選択的な蛋白の一つであるsurvivin (サバイビン)を標的とした放射性薬剤の開発を目的とした。前年度までに新たな結合メカニズムにてsurvivinに結合性を示すペプチド誘導体の開発に成功した。本年度は、さらに高親和性、高い代謝安定性を有するペプチド誘導体の開発を試みた。その結果、特殊アミノ酸を導入した7-22残基の新規ペプチド誘導体がsurvivinに強い親和性を有することを見出した。さらに、高親和性を有するペプチド誘導体に関して、MDA-MB-231細胞を用いた抗腫瘍効果をMTTアッセイにて評価したところ、1.0 μMで10-15%、10 μMで30-40%の強い増殖抑制効果が認められ、既存のsurvivin蛋白を標的とした低分子化合物 (S12) よりも高い抗腫瘍活性を有することが示された。また、survivinが細胞内蛋白であるため、survivin標的分子のがん細胞内への透過を狙った膜透過性ペプチドを結合させた新規ペプチド誘導体を開発したところ、survivinに対して母体ペプチドと同程度の親和性を有することが見出された。現在、種々のペプチド誘導体のメカニズムを含めた抗腫瘍活性の評価を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Survivin蛋白に高親和性を有する非天然アミノ酸を含んだペプチド分子の開発を達成した。また、得られた高親和性ペプチド誘導体が既存の低分子化合物に比べて高い抗腫瘍活性を有することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
さらにsurvivinへの高親和性を有し、優れた抗腫瘍活性を有する新規ペプチド誘導体の開発を引き続き行っていく。また、得られたsurvivin標的ペプチド誘導体に90Yや131Iなどの放射性核種を導入し、がん選択的な内用放射線治療薬剤へと展開していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の価格変動や研究の進行状況により、残高が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品購入に使用を予定している。
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