研究実績の概要 |
本研究は,画像診断機器の高性能化とともに膨大な視覚情報の処理が要求されている近年の画像診断において,その精度向上のために視覚以外に画像の可聴化や可触化といった複数の感覚情報に基づくマルチモーダル感覚情報を応用した診断支援システムを構築することを目的としている.研究実績は以下の通りである. 1.マルチモーダル化中核プログラムの開発: 医学部にて選定,作成された画像情報をもとに,工学部にて画像を可聴化するプログラムを作成した.肺孤立性結節を有するCTのデータセットから,対象構造を肺正常血管か孤立性病変かを区別して各々にbeep音を割り当てるプログラムとした. 2.肺孤立性病変の可聴化プログラムを用いた診断実験:画像診断経験年数の異なる複数の対象者に対し,プログラムインターフェイスの使用感を記録し,さらに画像診断時の病変検出までのデータログ記録による可聴化の有無による検出時間の違いを検討した. 3.可聴化プログラムの孤立性肺病変の検出能に与える影響に関する基礎実験:上記実験システムを利用し,経験年数の浅い複数の画像診断専任医師(非専門医)の協力のもと,可聴化プログラムの孤立性肺病変の検出能に与える影響に関する基礎実験を施行した.そこで得られた結果とデータログを解析し,国際学会にて報告し(The 11th International Conference on Complex, Intelligent, and Software Intensive Systems, 2017 July 10-12, Italy),学会誌に掲載された.また次なるステップに向け,画像診断技術が必須となる分野である脳血管内治療の現状把握のため,関連する国際学会に参加した(WFITN2017, 2017 Oct 17-19, Budapest).
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