研究課題/領域番号 |
15K09900
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
森 浩一 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90274977)
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研究分担者 |
大久保 知幸 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (30704605)
関根 紀夫 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (70295434)
小原 弘道 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (80305424)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 位相コントラスト / 放射光 / 血管造影 |
研究実績の概要 |
本研究費で申請購入したX線カメラ(ピクセルサイズ約50μm)の動作特性と描写能について放射光X線を用いて確認した。受像面が1枚のデバイスで構成されていることから、画面の均一性が高い。輸液(生理食塩水)の輸送パイプ内壁に生じる微小な気泡を捕獲するための専用エアートラップを設計・製作し、動脈系と静脈系(門脈系)の輸送路に各2基を設置した。1基(容量250ml)は、循環ポンプの近傍、1基(容量100ml)は、試料近傍とした。これらの動作により、管壁に生じる微小気泡、ならびに中規模気泡を効率よく捕獲できることを確認した。大きなな気泡を意図的に混入させることで除去の限界を確認した。エアートラップ中の水位が極端に低下した結果、一部の気泡が試料側輸送パイプに到達することを確認した。このような状況は、通常の利用範囲内では生じないことから、今回の仕様で問題なしと判断した。静止画撮影(高分解能撮影を含む)に加えて動態描写の確認を行った。最大流速値は、動脈系55ml/min, 静脈系(門脈系)105ml/min とした。本研究は、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 放射光科学研究施設にて実施した。末梢血管系の描写を評価するめに、撮影系の空間分解能評価(MTF測定)を行った。アナライザー結晶の角度により、前方回折像、回折像ともに空間分解能が変わることを確認した。今回の撮影(ピクセルサイズ50μm程度のX線カメラ)で用いたアナライザー結晶角では、最高分解能は、5-8LP/mm程度と推定した。今後の精密解析で確定値を算出し、末梢血管像の描写評価を実施する。本年度は、学会発表3件を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災(2011年)で生じた放射光発生装置(超伝導型ウイグラー)の故障が深刻化し、2016年末以降の実験が一時中止されている。詳細は、2016年11月25日付け、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所 放射光科学研究施設長からの知らせ;超伝導ウィグラー修理に伴うBL-14の長期閉鎖について。 (https://www2.kek.jp/imss/notice/2016/11/2017pfpf-ar-1.html)。
それ故に、昨年度までに得られた画像データを用いて、論文投稿を計画している。これに関連して、平成29年3月23日(首都大学東京荒川キャンパス)、3月29日(高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所 放射光科学研究施設)において、研究メンバーと施設関係者による論文投稿ならびに次年度以降の研究方針についての打ち合わせを行った。以上より、論文投稿を積極的行うものの、装置の修理による遅延の影響があることから、研究の進捗状況やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に設定した今後の計画(①~⑥)のうち、①気泡除去効果については、今年度に実施した。②末梢血管系の高分解能撮影(ピクセルザイズ、25μm、7.4μm)と肝機能に関する文献調査については、前者のテスト撮影を終え、後者は継続調査の段階である。③顕微鏡画像の取得と分析については実施した。④新鮮肝臓における血流動態の撮影についても、実施しこれから画像処理・評価を行う。⑤と⑥は、施設機器故障の修理にかかる実験の一時中断による影響で実施できていない。 今後予定される実験再開までに行う事としては、これまでに得られた画像データ等の分析と評価を進めて、少ない時間でも効率よく必要なデータを得るための実験方法を再確認すること、より多くの実験時間を得るため新規の研究課題申請を行う事を考えている。また、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所 放射光科学研究施設以外を利用する研究も検討したが、実験機材の配置等を考慮すると、これまでに得られた画像データと同じ以上の画質を得るまでには多くの時間を要すると考えられることから、同施設における実験再開を優先することとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
差引額(8340円)の内訳は、研究代表者(森)が8130円、分担者(関根)が210円であり、いずれも消耗品等購入における端数として生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、論文投稿と追加実験を中心とした活動になる。そのなかで、上記の金額を適切に執行していく。
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