研究実績の概要 |
間質性肺炎は、間質と呼ばれる肺の構造が病変の首座となる疾患の総称である。このうち、予後不良な特発性肺線維症(以下IPF)は胸部CT画像で通常型間質性肺炎(以下UIP)パターンを示し、CT画像の評価が診断および重症度評価に重要である。 岩澤と横浜国大後藤研究室は、これまで間質性肺炎のCT画像の定量評価システム;Gaussian Histogram Normalized Correlation segmentation system (GHNC システム)を開発してきた。今年度は、1)通常線量のCTと低線量CTにおけるGHNCの解析比較、2)多施設共同研究で、CT装置、およびCTの再構成関数の違う画像における、GHNC解析の妥当性について検討を行った。 低線量CTの解析では、前向きで、54例について、低線量撮影の追加を含むCT検査を行った。GHNCの解析結果は、通常線量と低線量でよく相関した。またGHNC結果は、通常線量、低線量とも放射線科医師の肉眼評価とよく一致した。CTで喫煙者の10-15%に何らかの間質性の肺病変が見られ、生命予後にも関連ことが知られている。本研究から、GHNC解析が、低線量CTにおける間質性肺炎のスクリーニングに役立つ可能性が示された。この結果は、2018年2月から3月の国際学会(European Congress of Radiology (ECR2018; Takehara S, et al.)で発表し、現在論文投稿中である。 多施設共同研究については予定していた4施設のうち、琉球大学のGEのCT装置の通常線量の画像を提供していただくことができた。当センターCanonのCTと琉球大学の合計67症例のCT画像をGHNCで解析したところ、GHNCの結果はいずれの装置でも放射線科医師の評価とよく一致していた。この結果は、2018年4月の医学放射線学会で発表した。
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