本研究では動脈硬化による閉塞性動脈疾患の非侵襲的画像診断法の開発と精度の評価を目的とし,特に慢性透析や糖尿病を持つ症例においてしばしば問題となる,高度な動脈壁の石灰化を伴う症例において,CTを用いた非侵襲的診断法の精度を向上させるために,サブトラクション法を含めた種々の診断法の開発および評価を行った. ボリュームレンダリング画像やgradient MIP,およびサブトラクション法を開発し,それぞれの診断精度を評価した.これらの中で特にサブトラクション法は侵襲的血管造影と同等の高い診断精度を持ち,閉塞性動脈疾患の標準的診断手法として使用可能であることを証明した. 27年度は主として,各種非侵襲的診断手法のブラッシュアップを行うとともに,CT画像データの取得,侵襲的血管造影データの取得を行った.28年度は前年度に引き続きデータ取得を行うとともに,処理後に得られた結果と侵襲的血管造影の比較を第三者機関に依頼した.28年度途中から空間分解能が従来の16倍である超高精細CTが使用可能となったため,本装置を用いた評価も検討項目に加えることとしデータ収集を行った.29年度は第三者機関から戻った計測データを統計学的に解析し,それぞれの画像処理法の診断精度を確認し,全体の傾向として下腿動脈より末梢レベル(3mm前後)では診断精度が低下する傾向が見られたが,CTサブトラクション法は最も計測誤差が少なく,高い正診率を保っていた. 超高精細CTではCTサブトラクション法が応用可能であり,足趾末梢レベルにおいても非侵襲的に動脈の開存性を評価可能であることが実証された. これらの成果は学会発表とともに最終年度は論文としてまとめ発表した.
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