研究課題/領域番号 |
15K09903
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
山本 文彦 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (40253471)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分子イメージング / 放射性標識合成 / 腫瘍 / PET / SPECT / マウス / インビボ / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
分子イメージングに大きく貢献すると期待されるナノ粒子キャリア「ラクトソーム」の改良として、生体内安定性と腫瘍認識特性の向上を目指した。 「標識位置が異なる内包型ヨウ素標識ラクトソームの合成と安定性評価」として、ラクトソームに内包する標識子として4-125I-BzPLLA(p体)の他、3-125I-BzPLLA(m体)および2-125IBzPLLA(o体)の標識合成に成功した。それぞれの放射化学的収率はそれぞれ、26.7%、29.1%、29.4%であった。これらを、両親媒性ポリマーとともに、フイルム法によって、加温下において超音波照射(42kHz、50℃)にて粒子化し、それぞれを内包したラクトソームを調製した。安定性評価として、マウスにそれぞれを投与し、2時間後における生体内分布を調べた結果、脱ヨウ素代謝の指標となる甲状腺への放射能集積が、p体で0.41%ID、m体で0.67%ID、0体で3.6%IDであった。このため、三者のうちではp体が最も脱ヨウ素代謝を受けにくいことが示唆され、これまで選択していた4-125I-BzPLLA内包型の標識ラクトソームの妥当性が示された。 タンパク質標識試薬として汎用性のあるBolton-Hunter試薬をもちいて放射性ヨウ素標識を達成したPLLAについては、内包したラクトソームの生体内分布は甲状腺への放射能分布が極めて高く、生体内では脱ヨウ素を受けやすくラクトソームの標識試薬としては不適であることを明らかにした。in vitroの安定性評価については検討中である。 「表面修飾型ヨウ素125標識ラクトソームの合成法確率と機能性評価」として、 両親媒性ポリマーのPSar末端への125I-Bz基導入について最適反応条件を検討した。末端2級アミノ基へのSIB導入は反応溶媒の種々検討を行ったが、放射化学的収率の向上は達成できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ4-125I-BzPLLA内包型標識ラクトソームが最も安定な最適構造であると結論できるが、さらに安定な構造を探るにはインビトロ安定性などを調べて詳細な解析が必要となる。また表面修飾型ヨウ素125標識ラクトソームの合成は、標識基質の構造改良の必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、ラクトソーム表面への機能性分子導入の検討を進めるが、29年度に予定していたfolate基導入の検討を先に行い、28年度に予定していた機能性ペプチドの導入検討は29年度に行う予定である。その一方で、ヨウ素標識ラクトソーム安定性のインビトロ評価やPSar末端への放射能導入を引き続き並行して進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ランタイム製クロマトグラム用処理装置 Chromato-Proを備品として購入する計画であったが、ラジオアイソトープ実験施設のγカウンターが老朽化のため故障してしまったため、この備品を購入して行うべき標識合成を翌年度に行うことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
故障した実験施設のγカウンターの28年度新規導入が決まったので、それに合わせて予定のランタイム製クロマトグラム用処理装置 Chromato-Proを28年度に購入する計画である。
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